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愚者の跳躍

ロックマンの絵とか文とかのログ倉庫。2ボス、ワイリー陣営で腐ってます。マイナーCP上等。NLもあります。サイトは戦国BASARAメインです。

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2万リク:Machine guardian_04(sei様)

2009/02/22(Sun)23:13

4話目です。
ロボットについていろいろ言ってますが、やっぱり突っ込まないで;
意志と力について、同じメタルの持論なのでもう一つのリク作品である「Machine child」とややリンクさせています。





【Machine guardian_04】





《では『人型戦闘用ロボット』についてお話しますが、戦闘用、かつ人型のロボットに要求される技術は非戦闘型ロボットとは比べ物にならないほど高度です。各種センサー、バランサー、装甲、耐衝撃性能、最適なエネルギー配分、高速処理の可能な回路、安定して膨大な出力を可能にする小型の動力炉、冷却系、状況判断プログラムなど、数え上げればキリがありません。トーマスが人型ロボットを作るうえで現在自分に可能な最高の技術を追求すれば、家庭用・工業用であろうとも自然と戦闘向きの規格になると推測されますが、貴方が明確に戦闘用ロボットとして設計されたのは、開発援助に軍事関係者が絡んでいたせいではないかと推測します》
「スポンサーの要求か……たしかに、ロボット工学には金がかかるからな。では、『心を持った戦闘用ロボット』については?」
 聞きたいような、聞きたくないような。
 軽く目を伏せるブルースに、しかし淡々と答えが返される。
《心のありようは平時よりもむしろ極限状態において問われるものです。普段は大人しく優しい性格の持ち主が、危機にさらされると豹変するという話は珍しくありません。戦場には勇気がなければ立ち向かえず、また心が弱ければ狂ったり、必要以上の力を振るってしまう事があるといいます。何より、戦いには意志が不可欠です》
 ブルースは意外な答えに眉を上げた。
「意思……だと?」
《銃には引き金を引く者の、戦車には搭乗者の、自動兵器には命令者の意志があります。意志なくして振るわれる力は事故であり、戦いとは呼べないと判断できます》
 電子の声は加熱することなく、しかし聞く側であるブルースに熱を生じさせた。
「では、戦いとは……戦場とは何だ?」
《戦場とは存在を試される場所であると判断します。そこで問われるのは何をしたか、あるいは何をしなかったかです。貴方が戦闘用ロボットであるということは、貴方自身がどう生き延び、何を敵とし、何を守るかを潜在的に問われているということです》
「……守る?」
 戦闘用ロボットの性能は戦うこと――敵を倒すことだと思っていた。
 しかしブルースに問われているのは『誰を倒すか』ではなく『何を守るか』だと言う。
《貴方のボディはやや耐久性能が低いのですが、それを補う盾を持ちます。鎧とは異なり、盾が守るのは装備者だけではありません。盾は装備者がその陰に入れた者を守ります。そして、あのトーマスが戦闘用ロボットに破壊ではなく守りの力を与えたのなら、貴方は『守護者』となることを願って生み出されたものと推測されます》
「守りの力……俺に?」
 そう言われたブルースは自分の機能を再確認した。戦闘用プログラムの設定は、確かに防御重視で、周囲の状況を確認し、対応しながら戦うことを得意としている。能力テストのシミュレーションも、思い返せば護衛や救出の任務が多かった。
 それはつまり、近くに守るべき対象を置いていることを想定しているということだ。
 自分の力についてはわかった。しかし、一つの解答からは新たな疑問が浮かぶ。
「だったら、何故俺には三原則がない? それが入っていれば、俺は素直に人間を守り続けただろう。たとえ内心では嫌っている相手であっても」
《貴方には心と意志があるのですから、相手を守るか守らないか、選ぶことが出来ます。何かを大事に思い、自らを危険に晒してでも守ろうとする――それこそ最も根源的で『尊い』とされる心の働きであると判断します。人工的に作られた『心』が何かを大事だと思えるかどうか、それとも、人型をした盾としてただ言われるがままに守るのか、トーマスには自らの作り出した『心』を試す意図があったと推測されます。不本意な命令にも絶対服従させる三原則は、その試行においては邪魔にしかなりません》
 大事だと思えるものを、守って欲しい。
 何かを大事だと思って欲しい。
『君が、この世界を――そこに住む人々を愛し、守りたいと思ってくれることを祈っている』
 起動したての時に聞いたライト博士の言葉が再生される。あのときの自分には、製作者が少し哀しげな表情をした意味がわからなかった。
 しかし、守ることは存在意義として与えられてはおらず、困惑したものだ。
 かつての自分ならば、人々を守ってくれと言われればそうしたのに。
「言われるがままに守るのが……悪いことなのか?」
《善悪の判断は無意味と判断します。ですが、プログラムや命令で強制されて誰かを守る『心』にどれほどの価値があるのか判断しかねます》
 機械の知が語る『心』は、おそらくどこまでも客観的なのだろう。それでも、浮かぶ感情に名をつけるのであれば――感嘆、しかない。
(本当に……こいつには『心』がないのか?)
 求めていた答えは全て与えられた。解答としては期待以上――しかし、答えを得ても迷いは晴れない。
 自分は守りの力を持ち、守護者となるよう願いを掛けられたが、それは強制ではなく、守りたいと思えるものもない。
 宙ぶらりんな状態は変わらない。
 ならば、とブルースは質問の方向を変えた。



>>【Machine guardian_05】


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