忍者ブログ

愚者の跳躍

ロックマンの絵とか文とかのログ倉庫。2ボス、ワイリー陣営で腐ってます。マイナーCP上等。NLもあります。サイトは戦国BASARAメインです。

[PR]

2024/11/22(Fri)11:31

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

No.|CommentTrackback

キリバン09:神のなさる業(H+Dr.W)

2009/03/20(Fri)20:13

ずっと放置してたけどようやく…!五千&一万キリバン企画は今日中に終わらせようと思います。

土日は出かけちゃって更新ないだろうし。 今回の担当はHです。メタルの担当お題の続き?っぽい感じで。ほのぼのな感じで。オチがないのはもはや仕様。


【3/25】本文がまったく改行されてなかったことと誤字に気づきました→修正。あの状態で読んで下さった方、ありがとうございました;本当にすいませんでした。


【神のなさる業】  


買い物に出かける直前、ワイリーの端末にメタルから通信が入った。
「どうしたメタル? 緊急事態か?」
《違いますよ》
 ワイリーの最初の息子にして友人たるメタルは苦笑交じりに言った。
《今日はヒートと二人で買い物に行かれるとか》
「そうじゃが?」
《護衛はヒートが言い出したことなので、ご褒美をあげて下さい》
「なんじゃ、そんなことか。わかった、何か考えよう」
 ワイリーが頷くと通信が切れた。
 メタルが番号の大きい弟たちを(彼にしては)甘やかしているのは知っていたが、わざわざ褒美を上げてくれなどというのは珍しい。何かあったのだろうか。
 首をかしげながらコートを羽織り、端末をポケットに放り込んで部屋を出た。研究所の前に出ると、ライター型の小柄なロボットと合流する。
 七男のヒートマンは八体のDWNの中でも取り分け幼い性格をしている。ワイリーの運転する車に乗って街の中心部に向かうまでの間、緊張の面持ちで周囲に気を配っていた。
 ヒートが緊張しているのは、ワイリーと二人だけで出かけるのが始めてだからだろう。駐車場に車を泊めて通りに出ると、ヒートは背伸びしてワイリーを下から覗き込んだ。
「あのね、あのね! 今日は僕が博士を守ってあげるからね。面白そうなモノ見つけても、勝手にどっか行っちゃダメなんだからね。絶対僕から離れないでね」
「おお、わかったわかった。約束じゃ」
 いつも兄たちから言われてるであろう言葉だ。舌足らずな言葉で大人ぶって注意してくるのが可愛い。相好を崩してヒートと指切りげんまんしたワイリーは、出発前にメタルに言われたことを思い出した。
「そうじゃ。何かご褒美をやらんとな……ヒートは何か欲しいものはあるか? 買ってやるぞ?」
「えっ?」
 ヒートは大きな目をさらに大きく見開くと、言おうか言うまいか迷っているかのようにもじもじし始めた。
「どうしたんじゃ? 途中で気に入ったものがあったらそれでも――」
「違うの! えーっと……えっと……あのね、買って欲しいんじゃないんだけど、お願いがあるの」
「何じゃ?」
「あのねあのね……今日だけ、博士のこと『お父さん』て呼んでいい?」
 その一言にワイリーはあっけに取られた。 口を開けて停止した彼のリアクションを否定と取ったらしく、ヒートはしょんぼりと肩を落とした。
「やっぱり……ダメだよね……」
「まさか!」
 正気に戻ったワイリーは慌てて否定した。出掛けのメタルの通信の意味をようやく理解しながら、可愛い息子をぎゅっと抱きしめる。
「良いに決まってるじゃろう! 今日だけと言わず、いつもそう呼んで良いんじゃぞ!」
「ううん……だって、皆我慢してるもん。でも、僕いっつも博士のこと『お父さん』て思ってるんだからね? 皆もそうなんだから!」
 知っている。
 ひねくれ者のフラッシュも二人きりのときは『親父さん』と呼びかけてくる。他のナンバーズもワイリーと二人のときはこっそりと、彼らなりの呼び方でワイリーを『父』と呼んでくれるのだから。
「わしだってお前たちのことを可愛い息子だと思っとるわい」
「うん! 知ってる! ちゃんと知ってるよ!」
 ヒートの顔がぱあっと輝く。
 それからずっと、手を繋いで歩いた。
「お父さん、寒くない? 今日、風強いから……マフラーも持って来れば良かったのに」
「お前の傍にいるから大丈夫じゃよ、ヒート」
「ホントに大丈夫? 熱すぎない?」
「大丈夫じゃ」
 ヒートがワイリーを『父』と呼ぶたび、通りすがりの人間たちが振り向き、笑顔を振りまくロボットの姿に微笑ましそうに目を細める。
 だが、彼らはヒートを主人をそう呼ぶよう設定されたロボットだと解釈しているはずだ。呼称設定を変えれば自分を好きなように呼ばせることができる。まさか自分から進んで「お父さんと呼びたい」と言い出したなどとは思っていまい。
 彼らはロボットにそんな自由意志など不要だというだろう。
 そう、学生の頃から何度も言われ続けてきたことだ。
 ――道具に心などいらない。
 ――人造物に心を与えるなんて神への冒涜だ。
 別に良いではないか。
 心を与えたっていいではないか。
 神の業のほんの一部を真似することが何故冒涜だというのか。
「お父さん」
「何じゃ、ヒート?」
「これからも、二人の時は博士のこと『お父さん』て呼ぶね。あと、ウッドも博士のこと『お父さん』て呼んで良いでしょ? ね?」
 どうやら唯一の弟に当たるウッドに気を使っているらしい。
「もちろんじゃ」
 ライター型の装甲の隙間に手を入れて丸い頭を撫でてやると、ヒートはくすぐったそうに笑った。はしゃいだように繋いだ手を揺らす。
 ああ、あの連中に見せてやりたい。全員とっくに寿命で死んでいるだろうけれど、天国でも地獄でもいいから見るがいい。この自慢の息子たちを。
 彼らの心が偽物だなんて言わせない。
 この子達の笑顔は、こんなにも美しい。 
 誰も信じはしないだろうが、自分ほど神に感謝している科学者はいない。
 こんなに愛しい家族を与えて下さったのだから。
 

+++++
 

息子たちにはデレデレなワイリーさん。ひーたんのしょたっこ喋り?がなんか楽しい。ひーたん可愛いよひーたん。

拍手[3回]

PR

No.125|キリバンComment(0)Trackback()

Comment

Comment Thanks★

Name

Title

Mail

URL



Pass Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字 

Trackback

URL :