クイックの日記念だけど相変わらずメタクイです。ヤマもイミもオチもないよ、マジで!
コア接続してる話ですが、微妙にロボグロかも。
【確かに君がいるなら、あえて言葉を尽くす必要はない】
クイックの腹部にあるメンテナンスハッチを開け、手を入れる。手指に握っている二本のケーブルの先は俺の腹に同じように開いた穴の奥に繋がっている。体内の構成物やコード類をよけて手をもぐらせていくと、クイックが居心地が悪そうに身じろぎした。顔が赤らんでいる。さまざまなコードが延びる脊椎を指でなぞってやると軽く睨まれた。あまり良い気分ではないだろう。俺の手はもう肘近くまでクイックの中に入っている。
コアはもう少し奥だ。
愛しさを堪え切れなくなって、薄く開いた唇を奪う。 +
かちり、と脊椎のソケットにプラグが差し込まれる。メタルとの感覚共有が開始され、俺は俺を抱きしめて唇を吸い、脊椎フレームを指でなぞりながらコアを探る。メタルは抱きしめられ、キスされながら身体の中を探られる感覚を味わっているはずだ。至近距離で赤い瞳が剣呑な輝きを宿す。舌先が薄い唇を舐めるのを見ながら舌の感触を唇に感じ、俺はメタルの目を通して俺の目を覗き込む。
混ざっていく。
感覚共有は互いが離れていれば情報量が増えるだけでさほど違和感もないのだが、こうして触れ合い影響しあっていると情報がループして妙な感じになる。
俺はどこにいるんだろう。
お前はどこにいる? +
二度目のキスの代わりにクイックの唇を噛んだ。歯先に柔らかさを、唇に甘い痛みを感じる。錯綜する感覚が面白い。口の端が笑みを刻むのを感じながら、自分の指先にほのかな熱を持ったクイックのコアを探り当てる。ソケットを見つけて、手の中のプラグを差し込んだ。このケーブルは俺自身のコアから伸びている。
幾重にも閉ざされた防壁が開く。繋がる。それでも一つになるわけではなく、限りなくゼロに近い距離で寄り添う。
赤熱するこの心を触れさせて、お前の心に焦げ跡をつけたら――許してくれるか? +
感覚共有をすると、自分が、相手がどこにいるのか分からなくなる。
コア接続はそうじゃない。俺のすぐ傍にお前がいるのを感じる。俺の腹部から抜けたお前の手が俺の頬を撫で、掌に滑らかな人工皮膚の感触を覚えても、俺はもう混乱しない。
愛している、と伝わってくる感情はじりじりと俺の心を焦がす。居ても立ってもいられないような激しい熱量を与えてくる。同時に、ほんのわずかな怯えもある。俺に嫌われることを恐れる、ほんのわずかな暗さと冷たさ。
俺はメタルを受け止められるかどうか試されている。同時に、許しを請われてもいる。
大丈夫だよ。慣れてんだよ、お前に試されることなんて。お前を好きになるずっと前から。
メタルに叩きのめされて、その度に立ち上がって、俺は俺になったんだ。
障害を越えられない俺は、俺じゃない。
俺は笑い、メタルの目を通してその不敵な笑みを見つめ、自分から食らいつくようにキスした。安堵と共にさらなる熱が来る。全部飲み込んだ。
それが俺の幸せなのだと、ちゃんと伝わっているだろうか。+++
色を変えてみました。ちょっと読みにくい……?
[2回]
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