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愚者の跳躍

ロックマンの絵とか文とかのログ倉庫。2ボス、ワイリー陣営で腐ってます。マイナーCP上等。NLもあります。サイトは戦国BASARAメインです。

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Misericorde_01(M´×f)

2010/05/04(Tue)18:28

ふおお、ようやくプロット切れたのでフォルテ話の連載始めます!とりあえず序章的な話。全7話くらいの予定です。
「M´×f」と表記してありますが、今回はフォルテとロックが中心です。まだ腐った匂いはしてません。


<注意事項>
・私のフォルテ妄想満載の話です。フォルテに夢見すぎてます。
・M´×fの初めて話なので連載途中で裏に飛ぶ予定です。
・基本的に鬱気味。破壊、グロ表現あり。

以上の件がOKできる方だけ読んで下さい。



【Misericorde_01】



 街の燃える火が、夜空を赤く染め上げていた。立ち並ぶビルは一つ残らず傾き、あるいはひしゃげ、無傷で済んだ道路は一つもない。人間もロボットもとっくに避難しており、周囲を満たすのは燃え盛る炎と渦を巻く風の音だけだった。
 とてつもない破壊の中心に残っているのは、それを生み出した二体の戦闘用ロボットだけだ。
 瓦礫の上に倒れているのは、蝙蝠の様に広がった特徴的なヘルメットの少年形ロボット――フォルテ。煤けた黒の装甲は多少歪んでいるだけだったが、脇腹に大きな穴が開いていた。残りエネルギーが少ないのか、胸部装甲の宝石もいつもの輝きを失っている。
 対する青い少年形ロボット――ロックマンも、フォルテに負けず劣らずぼろぼろだった。フレームの緩んだバスターを構えてはいたが、肩で大きく息をしている。周囲の全てが燃えている状態では、熱くなり過ぎた機体温度を下げるのは難しい。
 幼い顔に厳しい表情を浮かべたロックマンは、もう何度目かわからない問いかけをした。
「フォルテ……最強だってことがそんなに大事なのか!?」
「大事だ。お前にはわからないだろうがな」
 フォルテの顔からは先ほどまで浮かんでいた凶暴さが抜け落ち、代わりに静かで、どこかつまらなそうな表情が浮かんでいた。
「いつも思うんだが、ロックマン……お前は何故俺を殺さない? そうすれば、二度と俺に煩わされずに済むんだぞ」
「フォルテ……」
「それともやり方を知らないのか? そんな離れたところで撃ったんじゃ俺は殺せん。銃口を顎の下に入れて撃てば頭はすっ飛ばせる。それから、首のところから胴の中に向けて撃つんだ。それでコアも確実に破壊できるだろう。ちゃんとチャージショットを使うんだぞ?」
 フォルテの言葉は、ロックマンを激しく動揺させたようだった。
「そんな事……出来ないよ」
「何故だ?」
「今の僕にそんな余裕なんてないし……それに」
「じゃあ次に機会があったらそうしろ」
「僕は本当は君たちと戦いたくなんかないんだ!」
 淡々と呟くフォルテの言葉を大声でさえぎると、ロックマンは背を向けた。
「もう行くよ」
「お前はとんでもない愚か者だ」
 フォルテの指摘にロックマンは足を止め、肩越しに小さな笑みを見せた。
「そうかもしれないね」
 身体を引きずるように去っていくライバルを見送り、フォルテは燃える空を見上げた。心配そうに覗き込んでくるゴスペルの鼻面を撫でながら、自分が生まれてからどれくらい経ったのだろうと考え――途中で数えるのを止めた。
 どの道、自分はまだ先へ進めない。
 ロックマンを倒すまでは、自分は『此処』に留まり続けなければならない。
「くーん」
 ゴスペルが鳴いて、帰還を促した。損傷した身体で炎の中に留まり続けていてもろくなことにはならない。そうわかっていても、なかなか起き上がる気になれなかった。
 ロックマンは何故自分を殺さないのだろうか。
 とどめをさす余力がないなど、嘘だとばればれのチャチな言い訳だ。今までいくらでも機会はあった。ロックマンに出来ないなら、他の連中にフォルテを引き渡すだけでいい。
 本当に平和をもたらしたいならそうすべきなのに。
 フォルテを殺し、ワイリーも殺し、ワイリーロボットもみんな殺してしまえば、世界はもっと静かになるだろう。ロックマン好みの平和が訪れるのに。
 それとも、誰か――ロボットでも生き物でも、命を奪う勇気がないだけだろうか。
 確かに、フォルテが自分を殺す方法を説明したときロックマンの目にははっきりと怯えが浮かんでいた。
(でも、例えば……目の前で死に切れずに苦しんでいる者がいたら、お前はとどめを刺してやるのか? それとも、じわじわ苦しみながら死ぬにまかせるのか?)
 ロックマンなら、致命傷とわかっていても助けようとするのだろう。だが、結果的には相手の苦しみを長引かせるだけになる。殺してやるのが本当の優しさというものだ。
(何考えてるんだ、俺は……)
 ゴスペルが急かしているが、どうしても立つ気になれない。基地へ戻るだけのエネルギーはかろうじて残っているが、純粋に気分の問題だった。
 そのまま目を閉じてしまおうとしたとき、足音と声が聞こえた。
「本当に、困った子だね……フォルテ」
「コピーメタル……」
 カメラアイが緑色である以外はオリジナルとそっくりなコピーメタルは、なんとかしてくれと見上げるゴスペルを撫でつつフォルテを見下ろした。
「お前を迎えに来たんだが……立てないのか、フォルテ?」
「…………」
 黙っていると手を差し伸べられたが、フォルテはあえてそれに縋らず起き上がった。
 コピーメタルはいつもの薄笑いを浮かべていない。戦場に出るためか珍しくマスクまでつけて顔を隠していたが、その目は少し怒ってる様にも見えた。
 ずきり、
 コアが吐き出したノイズをぐっと飲み込み、緑の目から逃れるように歩き出す。ふらつく足取りにコピーメタルは数歩で追いつき、さっと隣に寄ってフォルテを支えた。二人の後をゴスペルが無言でついてくる。
 コピーメタルはお説教らしいことを一つも言わず、まっすぐ前を見ていた。いっそ何か言ってくれた方が、反発する気力が湧いただろう。無言でいられると辛かった。
 周り中が燃えていたが、フォルテの心の中はいつものように乾ききった冷たさに満ちている。機体温度がどれほど上昇しようとも、この寒さが消えたことはない。怜悧に澄んだ思考の冷たさではない。ただ、凍えているのだ。
 フォルテは、これが『死』なんだろうと漠然と思っていた。
 無言で瓦礫の中を歩いていると、ふと、頭の中に鋭い刃物のイメージが浮かんだ。昔どこかで仕入れた古い画像だ。
「なぁ」
 声をかけると、コピーメタルはちらりとこちらに視線を送った。
「何だ?」
「大昔の騎士が持ち歩いてた短剣……何て名前だったかわかるか?」
「騎士、に短剣――……ミセリコルデか? 致命傷を負った奴にとどめを刺すための?」
「そう……それだ。慈悲の剣って意味の……」
「いつも不思議に思うんだが、そんな知識何処で仕入れた」
「大昔に人間が使ってた武器について興味がわいて、いろいろ調べたことがあるんだ」
「……そうか。まあ、興味を持つのは良い事だ」
 コピーメタルはちょっと変な顔をして、それきり黙った。そうして酷く真面目な顔をしていると、オリジナルのように見える。普段は全く違うロボットに見えるのだが。
 ――こいつは、慈悲ぶかいとどめを刺すことが出来るんだろうか。
 フォルテはその思考を振り払い、火の粉の舞う夜空を見上げた。
「いい夜だ……」
 にやりと笑って見せたが、返事はなかった。
 別に期待していたわけでもなかったが、酷い寒さを感じてフォルテは震えた。




>>【Misericorde_02】



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