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愚者の跳躍

ロックマンの絵とか文とかのログ倉庫。2ボス、ワイリー陣営で腐ってます。マイナーCP上等。NLもあります。サイトは戦国BASARAメインです。

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2024/05/15(Wed)20:22

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006-03:再構築_02(F+B)

2009/01/28(Wed)23:37

おお、今日はひらがな使えますよどういうこと? さっき2525でコメントが半角しか打てなくて「www」しかコメントできず困ってたんだがw
というわけで、結局今週あまり更新できなかったなぁと思いつつ(手ブロばっか書いてるからなんですが)、連載三話の2個目です。わかりにくいな。


フラッシュが再起動します。電脳の中だけの話になるのでとても適当な感じですが、電脳っぽいニュアンスだけ感じていただければ……れば……いいな。








【再構築_02 zero-one feeling】



  [DWN.014] RESTART/safe-mode…………DONE.


 『目』を開けると、見慣れた電脳の闇があった。久しぶりに起動された機体がシステムチェックを繰り返し、そのログがフラッシュの前に溜まっていく。ボディの損傷はある程度修理されているようだが、バスターやタイムストッパーは全く反応がない。壊れているというより、物理的に接続されていない可能性が高い。
 日付を見ると、ロックマンに敗れてから一週間ほど経っていた。
 不意に回線が開く。エントリーは三番目の兄のもので、メンテナンス用の機器を介したレーザーケーブルでの直接通信だった。0と1の声が光の速さでフラッシュに届く。
【Bubble:やあ、フラッシュ。気分はどう?:over】
  意識がなかった間でも何かが失われたような感覚があって、久しぶりの他者の『声』がひどく懐かしく感じる。自分は生きている――その実感を握り締めるように、フラッシュは答えを電気信号に変える。
『気分て問題かよ。この感じなら通常起動はいけそうだぞ。なんで限定起動(セーフモード)なんだ? 状況は?』
【Bubble:矢継ぎ早に質問しないで。簡単に説明するけど、博士は負けた。ライト博士が身柄を保護する方向で動いてるみたい。DWNで今起動してるのは僕だけ。まず君の武器以外修理して、起動準備に入ってるところ:over】
『だったらさっさと起動しろって……ん? メタルはどうしたんだよ』
 ロボット工学に深い造詣を持つメタル、電脳処理能力に秀でたバブルとフラッシュは、もしものときの修理要員として最優先で修理されることになっているのだ。システム系の自己修復能力も高めに設定されており、復旧は早い。
 なのに何故今起動しているのがバブルだけなのか。
 答えは簡潔だった。
【Bubble:メタルは僕じゃ直せない。博士は……しばらく戻ってこられないと思う。だから、とにかく手を増やそうと思って君を起こした:over】
『…………』
 フラッシュは二秒ほど沈黙した。フラッシュとバブルのロボット工学の知識は同程度で、バブルに直せないものが自分に直せるとは思えない。ボディの損傷ならば自分たちにも復元可能だ。ならば、メタルの損傷は――
『コアを、やられたのか……』
【Bubble:そう。コアの直し方までは教えてもらってなかったしね……こんなことなら、習っておけばよかった:over】
 バブルの『声』は淡々としていたが、押し殺された無力感は痛いほど伝わってきた。フラッシュも、心がすうっと冷えるのを感じた。目覚めたとしてもどうせ何も出来ないという状況が、目覚めたばかりの心を挫けさせる。
『中身は無事……かどうかも分からねぇか。仕方ねぇ、さっさと俺を起動してくれ。とにかく、出切る事からやってかねぇとな……だろ?』
 努めて明るい『声』を出そうとしたが、空しい努力だった。
 闇の中に沈黙が落ちる。
 互いに迷うような数秒の空白の後、バブルがぽつりと言った。
【Bubble:いいの?:over】
『何が?』
【Bubble:僕らの役目は終わったんだよ? 無事だったとはいえ、コア閉鎖まで追い込まれたってことは一度死んだって解釈も成り立つ。だから……君が望むならこのまま死なせてあげてもいい:over】
 ――なんだそりゃ。
 一瞬思考が止まるほど頭にきた。
『……それ、本気で言ってんのかよ』
 0と1で作られる機械語は、それゆえ使いこなせば微妙なニュアンスを正確に表現できる。電脳制御に特化したフラッシュはじわりと滲み出るような怒りを言葉に載せた。
 逆に、バブルは感情を可能な限り抑え付けた『声』を作り出す。
【Bubble:……念のためさ。無理やり生き返らされるってのも、嫌な気分じゃない?:over】
『まあな。俺たちはそう簡単に死ねねぇから、意志に反して生かされちまうこともあるだろうさ』
 確かに、自分たちには死ぬ自由すらある。心がある以上生に膿む事もあり得ない事ではなく、『可能な限り自己を保存する』という第三原則を持たない自分たちは、人間のように自傷も自殺もできるのだ。
 だが――
『一体誰の入れ知恵だ?』
 ――自分たちには死ぬ自由があるなど、普段は意識することはない。
 バブルはややためらい、囁くように、ため息のように答えた。
【Bubble:――メタル:over】
『……やっぱりな』
 フラッシュはバブルと直接接続して機械語で話すことも多い。普段バブルはこんな風に自分を抑え付けた話し方などしないものだ。プールの中で過ごすことも多く、兄弟たちとは一歩引いた立ち居地に居ることの多いバブルも、兄弟を失うかもしれないという現実が相当堪えているのだろう。
 弟にそう推測されていることを察したか、バブルが苦笑する気配がした。
【Bubble:昔の話だけど……僕は起動したての頃、自我が不安定だったんだ。『造られた心』っていうのがしっくり来なくて、自分を認められなくて……エアーとは同時期に起動したから、随分心配させたんだ:over】
 その話はエアーに聞いたことがある。自分は何も出来ず、メタルと話すことでバブルは落ち着いたのだと次兄は自嘲気味に語っていた。
『メタルが何を言ったかはエアーも知らねぇって言ってたけどな……』
 弟の言葉にバブルはくすりと笑い、冷たい金属の身体の中に息づく熱い『心』からその記憶を取り出した。あの日あの時初めて『自分』を感じさせてくれた兄の言葉は大事な秘密だったが、今は無性にそれを誰かと共有したかった。
【Bubble:メタルは「どうしても辛いなら死んでもいい。俺が殺してやる」って言ったんだ……:over】
 その後DWN.011が作り直されたとしても、手を下した自分だけはかつて011だった存在を決して忘れない。
 自分を見つめていた兄の眼差しを――どこまでも無表情で、そのくせ鋼鉄の仮面の下には真摯な思いと悲しみと、そして信頼があった。もしものときはバブルの命を背負う覚悟を決めた上で、きっと心の奥にはその逆の意思があるはずだと信じている瞳だった。
【Bubble:それで、気づいたんだ……本物とか、作り物だとかなんて関係ない。ニセモノでもいいから、僕は生きたかった。メタルに言われて、初めて気づいた。生きたいって……思ったんだ:over】
 誰しも望んで生まれるわけではない。
 だが、自分は無理やり生かされているわけではない。
 自分の意志で生きることを選べる。
 死ぬ自由と同じく、生きる自由がある。
 生きたいと思う自分は、嘘でも幻でもなくここに居る。
 自分は紛れもなく『在る』のだ。
【Bubble:だから……念のためにね:over】
『へっ……』
 フラッシュは『にやりと笑う』イメージを0と1に変えた。
 何のことはない。バブルとて、こちらが本気で殺してくれと言うはずがないと信じていたのだ。
『人を試すなんてよくねーぞ。少なくとも、俺はチャンスがあるなら何度でも挑戦する派だ』
【Bubble:フラッシュは強いんだよ:over】
 バブルが微笑んでいる。顔を見なくてもわかる。
 確かに、おかしな話だ。死んでもいいといわれて、気力が沸いてくるとは。
 俺は生きたい。何が何でも生き抜いてやる――そんな気になってくる。
『バーカ。他の連中は俺たちでも何とかなるんだろ? メタルだって、いつまでも寝てるわけじゃねぇさ。やるべきことが残ってんのに、誰が死ぬかよ』
 デジタルの『笑い声』が闇の中に散った。
 バブルがどこか吹っ切れたような凛とした『声』で言う。
【Bubble:君の意志は良く分かった。じゃあ通常起動するね:over】
『仕事は山積みだ。手早く頼むぜ、兄貴?』
 再起動が始まる。
 そう、自分たちはワイリーナンバーズ。父のように、諦めの悪いのが特徴だ。
 命ある限り、何度でも立ち上がってみせる。




>>【再構築_03】


+++++

誤字脱字チェックは後日!

隊長もバブルも好きです。というか、2ナンバーズ皆好きなんですよ!ひーたんもうっでぃも大好きなんですよ!ほんとだよ!?……誰に言い訳してるんだか。
英語タイトルは某TRPGの特技名から。「AIと心を通わせる能力」というような解説だったような……実際には単に能動的行動で達成値を上昇させるだけの効果であまり協力ではないのですが(私、そのゲームの電脳能力者では防御行動メインのキャラの方が使い勝手がよいのです)、名称的もハッタリ的にも好きな特技です。
いいですよね、「機械と心を通わせる力」って。

機械語とか云々はそれっぽくするためのハッタリなので深く突っ込まないでいただけると感謝します。
メタルも無茶だなぁと思ったけど……元ネタはスプ,ラ,イト・シュ,ピー,ゲ,ルなのでした;「死んでいいってことは、生きたいと思う自由があるってこと(by雛)」
こんなところで使ってごめんなさい、先生。

さらに蛇足……メガミのネタバレが入るのと、コサック博士超・尊・敬!という方は読まないほうがいいと思うので反転します。

メガミのスカルは一人ぼっちで封印するくらいならいっそ破壊して欲しかったと思ってたんじゃないかしらと思ったのです。望まず造ってしまったというのなら、半端な情けをかけず思い切って処分してくれれば良かったのにと。コサック博士が封印するに留めたのは優しさであり親心でもあっただろうけど、自分の手を汚したくないというのもあったんじゃないかしら。

以上。
 

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No.87|ロックマン小話Comment(0)Trackback()

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