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愚者の跳躍

ロックマンの絵とか文とかのログ倉庫。2ボス、ワイリー陣営で腐ってます。マイナーCP上等。NLもあります。サイトは戦国BASARAメインです。

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2024/05/14(Tue)07:18

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11万12万リク:Absence sharpens love(283さま)

2010/03/31(Wed)23:38

うぁー、3月中に終わったぁ!!拍手のお返事は後日まとめてさせて頂きます;社内異動で部署が変わるので、明日から忙しくなるっぽい…?
嫌だ嫌だ。


閑話休題。
283さまのリクエストで「光→巻」です。裏でも可、とのことでしたが、結局表に(^^;)……代わりに隊長がいろいろアレになりました。なんというか、ダークサイド、的な……
一応、告白は終わってます。秘密のお付き合い中。


注釈が不安な感じですが、続きからどうぞ!








【Absence sharpens love】



 戦いと次の戦いの間の穏やかな時間は、拍子抜けするほど平穏に過ぎて行った。
 もちろん、次の戦いが控えていることを知っているのは自分たちだけで、それ以外の連中――つまり、自ら望んで戦闘用ロボットになったくせに平和主義者のロックマンだの、お人よしのライト博士だの、一般市民だのは、この平和がいつまでも続くのだと考えているらしい。
 彼女もその一人だろうか。
 フラッシュの隣に座って、ちょっと不満げに小さな唇を尖らせた少女。ポニーテールにした長い金髪に、赤いワンピースを着た、DRN.002ロール。
「だったら、あのワイリーチップは何なのよ。あれがいわゆる『悪のロボット』の元凶じゃないの? アレを組み込まれたカットたちは、ワイリーに従ってたわけだし」
 貴方達もそうじゃないの?
 大きな青い瞳の訴えに、フラッシュは大げさなため息をつく。
「あのなぁ……俺たちがプログラムによって親父に従ってるだけだとしたら、あれほど俺達を大事にしてくれるわけないだろ?」
 二人の表情と口調は険悪そうなので人間たちは近寄ってこないが、実際はそうでもない。ロールは言葉通りにワイリーを批判しているわけではないし、フラッシュも顔に出しているほど不快なわけではない。
 もっと前は、ロールもここまで突っ込んだ話はしなかったし、フラッシュは激昂したとき以外は他人の前でワイリー博士のことを『親父』とは言わなかった。
「お嬢ちゃんはいつも、生みの親に美味いメシ食わせてやろうって頭ひねってるだろ? それはプログラムのせいなのか? Dr.ライトは自分のために美味いメシを作ろうと日々頭をひねって考えるようにお嬢ちゃんをプログラムしたのか? 違うだろ? お嬢ちゃんは、その気になりゃディナーが白い飯に梅干だけってのもできるんだろ?」
「考えたことはなかったけど……できるわ。多分ね」
 考え込む少女のつむじあたりを見下ろしながら、フラッシュはにやりと笑った。
「人間ってのは……まあ、俺たちもそうだが、自分の望みを100%満たしてくれるヤツってのを、本心じゃ望んでねぇんだよ。それって結局、自分の予想を何一つ上回ることがないってことだろ? わかりきってる結末に死ぬまで付き合うなんて、気が狂うほど退屈だぜ? ま、そういうのが好きってヤツも、中にはいるだろうけど……なんっつーか、サプライズがねぇじゃんか。プログラム通りに動いて、プログラム通りのことだけを言って、プログラム通りの性能だけ出してるロボットなんて、愛せるわけないだろ? 喋る自販機と暮らすみたいなもんじゃねぇか。何の可能性もない、ただ決められたとおりのことをこなすだけの存在なら、そいつである必要がねぇだろ? いくらだって取替えがきくし、替えたところで何も変わらねぇ」
「……要するに、何が言いたいのよ」
「俺たちが悪なのは、チップの……親父のせいじゃねぇってことだ」
 フラッシュは饒舌な方だが、仲間以外に対してここまで本気で話すことは珍しい。
 ライトナンバーズは敵だが、ロールはフラッシュが誰にも言えないでいた悩みを打ち明けることができた唯一の相手だった。
 他者とは、特にDRNとは分かり合えない。分かり合えるはずがない。
 それがDWNの総意であり、フラッシュの考えであったにも拘らず。
「親父は俺たちを信じてくれてるし、愛してくれてるし、自分が設定した性能以上の力を見せてくれるはずだって期待してくれる。それは、モノに対する見方じゃないのはわかるだろ? 普通、モノってのは性能以上の力を出しちゃいけないんだからよ。だから、俺たちも親父を信じてるし、愛してるし、期待に応えたいって思うんだ。それはお嬢ちゃんたちだって同じじゃないのか?」
 線を引いた相手に対しては拒絶するだけだったはずの自分が、分かり合えないはずの敵と分かり合おうとしている。何度も怒らせ、傷つけたし、同じくらいロールに対して怒って傷つけられもした。
 それでも、決別はしなかった。人目を忍んで二人で会った。ずっと話をした。
 控えめに互いの好意を告げあった。その後も、わかりあえたと思っては失望して、でも諦められなくて、また会って話をした。
 まともなキスもしたことのない、恋人未満のまま。
 わかりあえたらその先に進めるのだと、なんとなく思っている。
「理屈ばっかり」
「『悪はいけません』じゃ、頭の悪い俺にはさっぱり理解できねぇからな」
「もー、腹立つ!」
 ぼかぼか拳で殴ってくるロールにフラッシュは笑い、ふと我に返った。
 ――ライトナンバーズ相手に、俺は何を本気になってるんだ。
 徹頭徹尾人間のために作られたロボットと、人間から独立して生きるよう作られたロボットが理解しあえるはずもない。それでも自分は、自分たちは諦めようとしない。
 何故だ。
 つまり、自分はただ、彼女にわかってもらいたいのだ。彼女にこちら側に来てもらいたいのだ。ロックマンや彼女が自分たちにそう望むように。
 真逆の存在意義を持つ相手が、自分と同じ存在になることを願っている。
 自分たちは創造主の次の作戦が始まる直前に姿を消す。それはまだ先。でも、彼女とは会えなくなる。こっそり会いに行くことは出来るかもしれないが、自分はそんな危険は犯さないだろう。だから、現実の世界では二度と逢えない可能性が高い。
 彼女について来て欲しい。いや、それは無理だ。でも、彼女を攫って行きたいくらい、離れたくない。
 どうして?
 彼女は正しい。
 自分たちだって、正しさに憧れている。いや、ある意味では、自分たちは正しいと思っている。その正しさを広めるために、世界征服をするのだから。
 正しい彼女が認めてくれれば、自分たちは正しいのだと胸を晴れる気がするから?
 だから、わからせたいのだろうか。
 一緒にいて欲しいのだろうか。
「フラッシュ……突然黙っちゃって、どうしたの?」
 ロールは拳でフラッシュの胸を叩くのをやめ、心配そうに彼を見上げた。
「強く叩きすぎちゃったかしら……痛かった?」
 戦闘用ロボットが家庭用に多少叩かれた程度で痛がるわけもない。それでも、真剣でまっすぐな視線にフラッシュの心が大量のエラーコードに似た想いを吐き出す。

 なんて――
 無邪気な君――
 理由なんかいらない。ただ、君が欲しい。
 好きだ。
 それだけだ。
 手に入れたい。人間に組することは愚かだとわからせたい。
 わからないならいっそ壊してしまいたい。
 手の届かない溝の先に君がいることが耐え難い。
 それでも、この時間を失うことの方がずっと恐ろしい。

 ――ああ、時間よ止まれ。

 この力が永遠に続くことなど願ったことはなかった。この武器はいつだって便利な一瞬だけの力で、永遠など望んだことはなかった。
 でも、全てを壊したくて、俺は永遠を望んでいる。
 今すぐ君を連れて逃げようか。
 どこまでも。君は一緒に来てくれるだろうか。
 どこまでも、世界の果てまで二人で逃げて。逃げて。誰にも邪魔されない最果てで、君だけにキスして、愛しあおうか。俺たちが壊れて、朽ちるまで。残骸が風化して、分解されて、塵になって消えるまで、ずっと。

「フラッシュ? ホントに、大丈夫? ねぇ、何か言って」
 表情を消してしまったフラッシュの頬に手を当て、ロールは少し泣きそうになって訴えた。ほんの少し前まで饒舌に『心』について語っていた彼が、まるで、心のない本当の人形のように見えたからだ。
 その声に引き戻され、フラッシュは「なんでもねぇよ」と笑って、ロールの頭をぐしゃぐしゃにした。小さな身体をすっぽりと抱きしめて、少女から顔が見えないようにしてしまった。
「何よ……心配したじゃない」
「ごめんな。でも、ホントになんでもねぇから」
「あんまりびっくりさせないで」
 フラッシュは頬に彼女の髪を感じながら、心の中で呟いた。
 ――子猫みたいなお嬢さん。
 誰も見てないからって俺に抱きついて、こっそり何かを期待してる、俺の愛しいお嬢さん。
 壊してしまいたいほど愛してるから、俺はあんたに手は出さない。まだ繋がれない。
 コアとコアで、あるいは身体で、相手を感じてしまったらもう戻れない。離れられなくなるから。
 兄貴たちを見ていればわかる。怖いくらい、強く結び付けられてしまう。一度繋がってしまったら、俺はきっとあんたを連れ去ってしまうだろう。それが、どんな破滅を呼び込むとしても。
 きっとあんたは正しいから、そんな俺を嫌うだろう。
 愛ゆえに悪に走るような、ワルイ女じゃないもんな。
 世界のためなら、お嬢ちゃんは俺を殺せるだろう?
 あんたがそんなに正しくてきれいだから、俺は苦しいんだ。
 お嬢ちゃんが欲しい。
 でも、今はダメだ。
 あんたも苦しめばいい。もっともっと苦しめばいい。
 俺はあんたを絶対に手放しはしない。
 敵味方に分かれても、遠くへ離れ離れになっても、あんたの心は俺のものだ。
 他の誰にも渡さない。
「好きだよ、お嬢ちゃん」
 静かに囁くと、ロールがぎゅっとしがみついてくる。
 抱き返した。家庭用ロボットの骨格フレームが軋むほど、強く抱きしめた。
「あんたが好きだ」
 ――真実の言葉と、額への優しいキスで、君の心を縛ってしまおう。
 愛情ともどかしさとで、互いをがんじがらめにしてしまおう。


 大嫌いな『正義』なんかに、君を奪われたくないんだ。





++++



隊長のダーク(?)サイド。
紳士っぽく見えるけど実は紳士じゃなくて単なる焦らしプレイというか(笑)隊長が何故にロールちゃんに手を出さないか考えたらこうなりました。ロミジュリなので、本気になれば破滅してしまうんです。DWNに行ってしまったロールちゃんは、もう前の彼女ではないだろうし。これも一種のヘタレっていうんでしょうか(笑)
何度か書きましたが、私の中の光巻は「破滅の中で成就する恋」なのです。ごめんね、二人とも(^^;)
でも、とりあえず隊長がどういう気持ちでいるのかはわかりました。すまし顔してる隊長もDWNの例に漏れず、ちょっぴりヤンデレでSの気質はあるっぽいですね。理性で留めてますけど。
タイトルは英語のことわざ(?)の前半分です。「離れていると愛は鋭くなる」だそうで……「近くにいると強くなる」って続くんですけど、基本的に離れがちな二人なので。

283様、リクエストありがとうございました!
いろいろとすいませんorz

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No.395|キリバンComment(0)Trackback()

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