今日はロックマンの22周年記念日だったらしいですね。2の記念日(=クリスマス)には何かやりたいと思いつつも希望だけで終わりそうな予感がする。
でも「クリスマス前」のネタはちまちま考えてました。「プレゼント何が欲しい?」って奴です。ほのぼので書いてたつもりなのに何故かシリアスなコピフォルが出来上がってました。
ちょっぴり破廉恥、かも。
<その21>
テレビのCMを観ながら、何の考えもなしに呟く。
「もうすぐクリスマスだな……」
「そうだな。フォルテはプレゼント、何がいい?」
ちょうど流れていたのはおもちゃのCM。軽薄な音楽と能天気な子供の姿にプライドを刺激され、むっとした。
「……ガキじゃないんだ。そんなの別にいらない」
「そう? 俺は欲しいものあるんだけど?」
コピーメタルらしい率直な言葉に興味を引かれ、どうせろくなもんじゃないだろうと思いつつも問い返す。
「…………何が欲しいんだよ」
「素直なフォルテ」
「…………」
「"欲しい"とか"もっと"とかがちゃんと言えて、"大好き"って甘えてくれるフォルテ」
コピーメタルの薄い笑み。冗談めかした声音と口調の癖に、目は大真面目。からかっているのではなく、本気なのだろう。
胸のどこか――たぶんコアの辺り――がずきん、と痛んだ。
コピーが注いでくれる百万の愛の言葉に対して、自分は何一つ答えていない。ブラックホールのように愛情を無限に飲み込み、返さない。疲れ果てたコピーに、いつ見捨てられてもおかしくない、愚かな自分。
いつだって喉元まで"その言葉"はせりあがってくるのに、言ってしまったら自分が自分でなくなってしまうような気がして怖い。怖くて言えなくて、苦しいのに、どうしてもっと苦しめる?
痛みを捻じ曲げ、突き放すように言った。
「そんな奴俺じゃない。そういうくるくるぱーが好みなら、俺にそっくりなセクサロイドでも作って、そいつとちちくりあってろ。そんで、二度と俺に触るな」
自分でもびっくりするほど硬い声だった。呆気に取られるコピーの顔から目をそらし、唇を噛んでうつむき、ずきんずきんと疼くような痛みに耐える。
「……乳繰り合うなんて言葉、どこで覚えたの?」
「エアーマン……」
「確かに、エアーなら言いそうだな」
コピーメタルは納得したように頷いている。フォルテの反撃に打撃を受けた様子は微塵もなく、それがフォルテの惨めさを増した。ひどくなる一方の痛みで動けず、逃げることもできない。
コピーメタルを好きだと認めてしまったら、その瞬間に飽きられて捨てられるかもしれない。とっくの昔に奪われている心を散々に打ち砕かれるかもしれない。
認めてしまった方が楽だとわかっているのに、それが怖い。コピーに捨てられた自分は、きっともう立ち上がれない。戦えない。最強だと胸を張ることすらできなくなって、それはつまり自分の存在意義すら果たせなくなることであり、存在意義を果たさないロボットとはガラクタと同義語だ。
ガラクタになどなりたくない。
「……フォルテ?」
無言のままぼろぼろ涙を流しているフォルテに気づいて、コピーが心配そうに声を掛けた。
かすかなため息の後、抱き上げられて膝に乗せられた。
「ごめんよ……泣くなんて思わなかった。きっと怒るだろうと思ってたんだ」
「ないて、ない……」
視界の中で滲みまくった赤を気持ちだけで睨みつけ、唇をぎゅっと引き結ぶ。
「おまえなんか、きらいだ……」
「そっか……」
口にされたのとは反対の意味を汲んだ微笑みを浮かべ、コピーがフォルテの頬に口をつけた。そのまま、キスと舌で涙を拭う。反対側も丁寧に舐め取り、まつげに絡んだ雫も残らず吸った。最後の一滴まで飲み干すかのように、目許にキスして止まらない涙を唇で受け止める。
そこまでされて、フォルテはようやく落ち着いた。
「ごめん……プレゼントに欲しいなんて卑怯だったね。フォルテが自発的に言ってくれるように頑張るから……許して?」
懇願の言葉と共に覗き込んでくる緑の瞳――どうやら珍しく本気で悪いと思っているらしい。
コピーは別に悪くない。彼を信じられない弱い自分が全部悪い。
慰められている間に落ち着いたフォルテはそう考え、罪悪感に悶えると、赤い装甲に顔を埋めた。
「……他のにしろ」
「何?」
「プレゼント。他のにしろ」
呻くような声に、コピーはくすりと笑った。
「じゃあ、別のを考えるよ」
「そうしろ」
「……えっちなお願いでもいい?」
「いきなり調子に乗るな」
「ちょっとだけなら良いだろう? 喉から手が出るほど欲しい、フォルテの愛の言葉を諦めたんだから」
「…………っ」
返事に詰まると、ぎゅっと抱き締められた。"ちょっと"で済むはずはないのだが、自分が最終的にお願いを聞いてやることはわかっていた。いつだってそうだ。
その言葉さえ言わなければ大丈夫だと思っている。
とっくに中身を奪われて空っぽになった金庫の鍵を、後生大事に隠しているのだ。
この世に自分以上の愚か者はいない。
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何故こんなシリアスになったのか、私にもわかりません。フォルテはツンが過ぎてデレた瞬間全てが終わってしまう気がしてならない。フォルテのデレ=死亡フラグな予感からどうにも逃げられない。
別に正気の状態で「好き」って言わなくても、態度で丸わかりなのでコピメタとしては文句はないんですが。ベッドの中ではわけわかんなくなっていろいろ言ってる気はするし。
あとフォルテに無駄に「ちちくりあう」って言わせたかった。「はれんち」とかも言ってくれると思う。多分ちゃんと意味わかってない。DWN倫理委員長エアーさんの口真似。
MQネタもずっと考えてるんですが、M兄がひねったことを言うべきかどうか悩んでるのでまとまらない。ありきたりのネタもちょっとなー、と思ってるらしい。
[8回]
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