今日はクリスマスですねー…今年も変わらず年の離れた妹×2にプレゼント上げてケーキも食わず終わる予定ですが。
MQでクリスマスネタがようやくまとまりました。ほのぼの路線。
<その22>
「おいメタル! お前がぐずぐずしてるからクリスマス当日になっちまったじゃねーか。結局何がほしいんだよ」
弱りきった俺が問い詰めると、メタルは困ったように眉を寄せた。
「……とりあえず、買い出しについて来てくれ。途中で考える」
この野郎、まだ決めてなかったのか。
恋人になって始めてのクリスマスだってのに、何か俺にプレゼントされたいものはないんだろうか。俺は俺で、二人で街に行ったときかなり前倒しでプレゼントを買ってもらって、嬉しかったけど微妙に複雑な気分だし。
「ちぇ……こんなことなら、勝手に何か用意しておけばよかった」
「何故そうしなかったんだ?」
「お前が『欲しいものを何か考える』って言ったからだろうが!」
「それはそうなんだが……」
「もう……はっきりしねぇな」
こいつに何か望みはないのか。自分で言ってて恥ずかしいし、絶対口には出せないけど、もう「お前がほしい」とかでもOKなのに。
クリスマスで賑わう街を歩きながらあちこちの店をのぞいたが、メタルはやっぱりこれといって個人的に欲しいものはないらしい。俺は俺でメタルの欲しそうなものを考えつけない自分にがっかりしていた。実用的なものならメタルはワイリー軍団の予算から出すだろうし、趣味的な小物の類をメタルは一切身近に置いていない。使わない物をプレゼントして、反応に困ったみたいに机の上にぽつんと置かれたりしたら俺の方が申し訳なく思うだろう。
(コイツは仕事が趣味だもんな……)
こっそりため息をついていると、隣を歩いていたメタルが突然「ああ」と言って立ち止まった。
「あったぞ、クイック」
「ホントか!?」
ぱっと顔を上げると、メタルが荷物を抱え直しているところだった。そうやって片手を開けると、元々空いていた俺の手を取り、指を絡めてくる。
「研究所に帰るまで、俺と手をつないで歩いてくれ」
「……それだけ?」
「それだけとは何だ」
唖然とする俺に、メタルはむっとしたようだった。
「俺が本当に欲しいと思ったものだ。何が悪い」
「悪くなんかないけどさ」
俺はくすっと笑った。おかしさより愛しさで、顔がにやけるのが止まらなかった。街には手を繋いで歩く人間のカップルが溢れている。きっとそいつらを見て気づいたんだろう。
俺たちは恋人なのに、手をつないで歩いたことがないって。
「どうせなら今日だけじゃなくて、『ずっと』って言えばいいじゃないか。二人で歩くときは、手をつないで歩きたいって」
「それもそうだ」
メタルは大真面目な顔で頷いた。
「クイック、これからもずっと、俺と手をつないで歩いてくれ」
「いいぜ。お安い御用だ」
再び歩き出したメタルの顔はいつもどおり無表情だったけど、どことなく嬉しそうだった。その様子が可愛かったので、俺は内心で今夜くらいは俺から誘ってやってもいいなと考えていた。
+++++++
お兄ちゃんが予想以上に可愛くなった。
今夜のQは誘い受けらしいです。
[12回]
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