土曜は母上と昼間から酒コース、日曜日は鼠帝国でした。疲れたんだかなんだか、まだぐったり中。
でも聖人男性のマンガを読んだら癒されたので、ようやく更新する気力が復活。
頂いてから一週間も経ってしまったのですが、誕生日プレゼント第二弾です。
眠り猫様がありがたくもリクを受け付けてくださったので「MQ!MQ!じゃれあってる感じで!」とお願いしちゃいました。今年はいつになく誕生日の頂き物が多くて幸せだけど後が怖いなぁと思う後ろ向き人間です;
作品は追記に載せさせていただきました!
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クイックの右の手にはシャンパングラスが二つ、左の手には高そうなシャンパンがあった。
また、つまみにするつもりなのか、チーズの袋を行儀も悪く口には咥えていた。
キョロキョロと通路を誰かを探すように、クイックは基地の通路を歩き回っていると、バブルにあった。
「おや?いいシャンパン持ってるね!どうしたの?」
クイックの持っていたシャンパンを目ざとく見つけたバブルは、そういってクイックの持っていたシャンパンに触れようとした。
途端にクイックがバブルの頭上高くにシャンパンを持ち上げ、触れないようにした。
「ほへはらめら。」
「??何言ってんのかわかんないよ。」
口からチーズを離すことなくしゃべったクイックの口を見つめて、バブルは思いっきりそのチーズの袋を取り上げた。
「・・・いてっ!」
「うん、それならなに言ってるか分かるや。さっきなんて言ったの?」
「これは駄目だっていったんだ!」
「えー?君そんなにお酒強い方でもなけりゃ、飲むやつでもないじゃん。もったいないから、僕が飲んであげるよ。」
クイックの腕からシャンパンを取り上げようとバブルが背伸びをしていると、クイックが身を引いて逃げた。
「駄目だって!これは俺が飲むんだ!」
「だれと?」
「え!?あ・・・ひ、一人で!」
「・・・ふーん。」
急に慌て出したクイックの右手をちらりと横目で見ながら、バブルが微妙な納得をした。
その視線を感じてクイックは急いで右腕の2個のグラスを背に回して、バブルの視線から隠した。
「メタルとなら、仕方ないかー。メタル酒好きだモンねー。ごちそーさま。」
「ひ、一人で飲むっていってんだろ!!」
バブルはそのままさっきクイックから取り上げたチーズの袋に手を突っ込み、チーズを食べ始めた。
「あ!俺のつまみ!!勝手に食うな!」
「あー、いらないいらない。メタルと飲むなら、こんなのいらないよ。メタルのとこにいったら、メタルのつまむものならちゃんとあるよ。」
「マジで?」
バブルの言い様に、もはや隠すことを素で忘れて、クイックが返事をした。
「マジでマジで。だから、早くメタルのとこに行きなよ。でないと、今晩は徹夜で博士の手伝いするっていってたから、夜にはまたいなくなるよ。」
「!!」
その一言を聞いてクイックはオロオロとし出した。
「・・・ああ、さっきから探してたの本当にメタルだったの?メタルなら今夜の準備の為に新しいラボで設備の整備をしてたよ。」
「サンキュ!いってくる!あ、そのチーズはやるよ、メタルのとこにつまみあるなら、もういらねぇ。」
クイックは、そう言うとバタバタと走り出した。
「・・・・うん、つまみって君のことだけど。まあ、ちょいつまみなのか、がっつり食われるかは、そこまでは責任持てないけど。」
クイックがいなくなった途端に、バブルはチーズを齧りながら、まるで他人事のような無責任な発言をした。
きれいに機器を並べて、整備の行き届いた手馴れた道具をしまい込んでいる道具箱を新しい作業台の上にそっと置くと、メタルは一息ついた。
「よし、これで今晩の準備は出来たな。あとは、博士に軽めの夕食の用意と夜食の下準備をしておかないと・・。急がないと時間があまりないな。」
動き出そうとした背後で聞きなれた足音、それも慌てて走っているような足音が聞こえてきた。
「・・クイック?」
「メタルいた!探したぞ!」
振り向いた瞬間にクイックの顔が覗きこんできた。
「今、時間いいか?」
「すこしなら・・・」
クイックはメタルの目の前に持っていたシャンパンを出した。
「これ、レースの連勝記念にチームから貰ったんだ。で、貰った時に・・・・だ、大事な人と飲めって言われてな、そ、その・・・。」
「ああ、博士にお渡しするのか?それは喜ばれるだろな。」
そのシャンパンを見て嬉しそうな笑みを浮かべたメタルの言葉に、クイックは顔がショックで固まった。
「・・・・すまん、俺にだろ?そんなに固まってくれるな。ほんのジョークだ。ありがとう、うれしいよ。」
クイックの硬直具合に、思わず自分から素直に謝ってしまったメタルが苦笑をした。
途端にクイックの顔は真っ赤になって、怒り出した。
「俺をからかうなよ!そういうの嫌いなのしってんだろうが!?」
「つい、普段は飲まない酒まで用意してくれて、一生懸命に俺を誘ってくれるお前がかわいいものだから、意地悪をしたくなった。」
「・・・・どんだけサドなわけ!?」
楽しそうなメタルのいい様に、クイックは泣きそうになった。
「しかし、誘ってくれる気持ちは嬉しいが俺はいま時間が・・・」
メタルがそういって断りを入れている最中に無線通信が届いた。
『メタル?クイックがそっちいった?』
『バブルか?どうした?クイックなら今ここにいるが?』
『忙しいとこ悪いんだけど、ちゃんと相手してあげてよ?代わりに僕やみんなが今夜の博士の準備しておくし。クイックにチーズ貰ったんだ。お礼したいんだ、だから優しくしたげてね。』
『??』
『じゃーね!』
一方的に通信を切りバブルにハテナマークを飛ばしていたメタルは、クイックに振り向き苦笑いをした。
「今、時間だ出来た。バブルがチーズの礼だということで、残りの準備を引き受けてくれるそうだ。おかげで夜まで少し時間が出来た。」
きょとんとしていたクイックが「チーズ!!」と一言いうと、一人納得したように頷いた。
「よくわからないが、とにかくせっかくの酒を俺は少し飲めそうだ。どうする?俺の部屋で飲むか?」
「ああ、それがいい。バブルがメタルのつまみもあるっていってたし。」
「つまみ??」
なにかかみ合わない会話に一人納得のいかないメタルを余所に、クイックは一人機嫌よく歩きだした。
暮れ始めた夕日の赤い光が部屋の中に差し込む。そこに赤い機体を持つ2体が静かに、和やかに笑い合い並んで座っていた。
「へへ、やっと飲める!」
まるで子供のような無邪気な顔で笑うクイックを真横で見て、メタルが思わず微笑む。
「俺の為に我慢していたのか?それなら、先に飲んでいたらよかったのに。」
その一言を聞いて、クイックはむっとした。
「・・・・本当にメタルって、そういうとこ鈍いつーか、自分のこと後回しつーか・・・・。」
クイックはぶつぶつ言いながら、そっとシャンパンをテーブルに置き、その側に持っていたグラスも置いた。
「俺があけてやろう。」
メタルがシャンパンを手に持ち、そのシャンパンのラベルを見た。
途端にメタルの眼が、すっと細くなり厳しいものになった。
「な、何か変か??」
その豹変を見て、クイックが声をかけた。
「・・・・いや。このシャンパンのラベルにお前がいるから、ちょっと見惚れていただけだ。」
にこやかにそういうメタルの顔を見て、クイックが素直に照れた。
(・・・・・なるほど、博士が急にロボット製作を言い出したのは、これで資金を集めれたからか。なかなか抜け目のないことだ。あとで詳しく問い詰めて、俺もこれを2,3本貰っておくか。)
メタルは、そのシャンパンに印刷されていたラベルにクイックの写真を見つけ、その販売者の名をみると「ワイリー」とあり、納得がいった。
クイックはその姿に実力から、出場しているバトル&チェイスというメジャーレースでも花形スターとして有名で多くのファンがいる。
しかし、クイック自体はただ走ることが目的であるので、そういったファンにサービスといった愛想のいいことをする気はなかった。(ターボ辺りには、勿体無いとよく言われている。)
しかし、それがまたストイックでいい!と多くの女性ファンを虜にしており、それゆえにクイックのこういった商品にはプレミアまで付く物が多々あった。
ワイリーはそのあたりに目をつけ、このような記念商品を作り、どうも一儲けし成功したようだった。
(クイックの写真はフラッシュあたりからの横流しか?あとで、こっちも少しお灸をすえておくか。)
写真のクイックは視線を余所に向け、その顔からカメラに気がついた感のないことから、この写真は盗み撮りとメタルは推測をした。
「乾杯。」
「乾杯!」
カチンと鳴らしたガラスに、それぞれが口をつけた。
クイックは、ぐいっと一息で飲み大きく息を吐いた。
メタルは、くいっと小さくグラスを傾けると、一口だけ飲みゆっくりと味わっていた。
「うん、これは美味いな。」
「気に入ってくれたようで嬉しいよ。」
メタルの一言に、クイックは気を良くした。
「あ、何かつまみあるんじゃないのか?」
「さっきから気になってたんだが、そのつまみって何のことだ??」
「バブルがつまみなら、メタルのとこにあるっていってたぜ?だから、持って来てたチーズをバブルに渡したんだ?何があるんだ??」
その一言でメタルはなんとなく予想のついたメタルがクククっと笑い出し、腹を抱えた。
「?」
わけがわからないクイックは、メタルの笑う姿を見てますます困惑をした。
「たぶん、バブルの言ったつまみとは、こういうことだ。」
そういってメタルはクイックの首に手を伸ばし、そのままキスをした。油断していたクイックの口を無理やりこじ開けさせると、そのまま舌を入れ存分にクイックを味わった。
不意打ちを食らったクイックは、身を捩ることも忘れて、成すがままにメタルのやることを許してしまった。
アルコールの匂いが改めて鼻先をかすめていき、クイックは一気に酔いが回ってきたみたいになった。
「こっちも美味いよ、クイック。」
妖しい光がチロリと瞳孔の中で揺らめいているメタルの眼を見て、クイックはくらりとなった。
「・・・・ば、ばかやろう。」
小さく罵倒したその言葉は何の力もなく、メタルを喜ばせただけだった。
「もっと欲しい気もするが、これ以上は悪酔いしてしまいそうだ。・・・お前に。」
「・・・・もう恥ずかしいの通り越えて、いっそ殺してほしいくらいだ・・。」
そういうと、クイックはメタルの言葉に力が抜けて言うことを聞かない己の機体を呪った。
「しかし、本当にこれ以上は俺も我慢だ。今晩は博士の手伝いがある。」
するりとクイックからメタルが離れていった。その瞬間、クイックはぶるりと震えた。
「ご馳走様クイック。本当に美味かったよ。残りはまたゆっくり後日、味わうことにしよう。お前と『一緒』にな。」
意味深な一言を残して、メタルはそのままクイックを残して、日が落ち薄暗くなった部屋を一人出て行った。
「あーもー!くそったれ!!」
クイックは一人残された部屋でいきなり泣きそうな声を出し、キレた。
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眠り猫様のメタルさんは恋愛よりも博士第一なのでクイックが甘えて「かまってかまって」とアピールしないといけないそうです。博士ズルイ!
一瞬前々で「お、コレは押し倒しコース!?」と思うほどイチャイチャしてたのに、さっと自分を律して仕事に戻っちゃうメタルさん……そのクールさに放置プレイ的なSっ気を感じるのは私の気のせいなんでしょうかww さらっと次の約束をほのめかしてるので完全に恨む事も出来ないし、もどかしさ→さらに求める気持ちになってますます離れられないしで、メタルさんが計算ずくなら超策士、天然だとますますヒドいお方ですwwうん、どっちでも美味しい!
眠り猫様、本当にありがとうございました!!
やっぱりMQが大好きだ!!
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