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愚者の跳躍

ロックマンの絵とか文とかのログ倉庫。2ボス、ワイリー陣営で腐ってます。マイナーCP上等。NLもあります。サイトは戦国BASARAメインです。

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2万リク:Machine guardian_03(sei様)

2009/02/22(Sun)23:02

三話目です。
心とかロボットについてうだうだ言ってますが、相変わらずフィーリングで描いてますので専門的なことには突っ込まないで下さい;




【Machine guardian_03】




「では先輩に相談だ。ワイリーに聞いても無駄だったし、さして興味もないようだったが、良かったら一緒に考えてくれないか?」
 状況確認のライムラグの後、『彼』は答えた。
《――現在専念すべきタスクはありません。どうぞ》
「もう聞いているだろうが、ライトは俺の動力炉を修理することで人格が変わってしまうかもしれないと言っていた。だが、実際には動力炉を変えても人格に影響が出ることはなさそうなんだ。何故ライトはそんなことを言ったのだと思う?」
《……データベースから判断材料を検索します。しばらくお待ち下さい》
 スピーカーが沈黙する。相手が自分と同じ人工知性だという親しみゆえか、ブルースは今まで口に出したことのなかった疑問まで声にしていた。
「何故ライトは俺を戦闘用として作った? 何故わざわざ人型ロボットに戦う力を……兵器に心を与えるような真似をしたんだ」
《それは質問の追加入力ですか?》
「……そうだ。俺にはわからないんだ」
 わからないから、ここから出て行けないのかもしれない。
 外に行けば答えはあるのかもしれなかったが、核心のないまま行動するのが怖い。
 今までは製作者の求めに応じていればよかった。だが、命令を与えてくれる者から逃げ出し自由を得たことで、存在理由に揺らぎが生じた。
 自分は何のために生まれ、生きるのか――それがわからないことに『恐怖』しているのだ。
《ブルース》
「ああ……」
《――今までの経緯と貴方のデータ、また私の経験を元に推測いたしますが、よろしいでしょうか?》
「ああ」
 所詮本人の口から聞いたことすら真実ではないかもしれないのだ。推測だろうと、何らかの答えが得られるのならかまわないと思った。
《では述べます。まず、動力炉の修理と人格のフォーマットで必要とされる工程は別です。両者の関連性はないと判断します。その上でトーマスが貴方の人格が変わると言ったのは、動力炉の修理と同時に、貴方の人格に手を加えるつもりだったことだと推測いたします》
「何……?」
 では、ライト博士はまったく別の工程を一つであるように話したというのだろうか。
「どういう、ことだ……?」
《ブルース、貴方の人格には俗に言う『ロボット三原則』が搭載されておりません》
「ロボット三原則……? 人間を傷つけるな、とかそういう奴か?」
 頷くような間をおき、『彼』は答える。
《実際には三つではなく、またロボットを含む人工知性全てに適用されますが、代表的な『人間を守る』『人間の命令に従う』『自己を守る』の三原則を俗称とした、人工知性の方向性を縛り、人間に逆らえないよう強制する不揮発コードです――貴方がこの原則を持っていないことは、製作者を自らの意思によって呼び捨てにし、自殺に等しいと知っていながら研究所を抜け出した行動から明らかです。公にはなっておりませんが、各界ではこのことを危険視する動きがあり、トーマスに対してDRN.000ブルースの人格に修正を加えるよう、度々圧力を掛けていたようです――メインシステムにコードを書き加るか、ブルース本人が拒否するようならば危険なロボットとして廃棄するようにと。コードを後付けで追加されることによって、人工知性の人格は高確率でフォーマットされます。これは既存の人格と対立する束縛を加えられたとき、ストレスで自我崩壊することを防ぐための安全装置です》
 長い説明だったが、今までのところ誤りはないと思えるが、ライト博士が圧力を受けていたことなど初めて知った。ブルースは頷き、記憶を検索する。
「そんな事実を俺にそのまま言える奴じゃないな、アイツは――確かに、しばらく前から何か悩んでいる様子だった。俺の動力炉に欠陥が見つかったのを、いい機会だと思ったのかもしれないな」
 家庭用ならばまだしも、ブルースは戦闘用ロボットだ。その武力で人間を傷つける可能性があるならば、危険に思われてもおかしくはない。
 だが、もしこの推測が本当だったとしたら、逃げてよかったと思う。
 修理を受け入れれば人格を修正され、自由な心を失っていたかもしれない。
 拒否して、しかし留まれば廃棄されていたかもしれない。
 ならば、『ブルース』が生き延びる道は逃亡しかなかったのだ。
「アイツは、俺が外に出たいと思っていることを知っていた。だからあえて、詳しく話さなかったのかもしれないな……」
 ライト博士はブルースが人格の変化を拒否すると確信していたのだろう。そういえば逃げようと決めた日にライト博士は急な用件で研究所を留守にし、逃げ出すのが容易になった。生みの親は自分の決意を悟って、逃げやすくしてくれたのかもしれない。
 だが、たとえ逃がしたとしてもライト博士が『ブルース』を失うことになるのは間違いなかった。ならばせめて、自分が生み出したその心を最後の瞬間まで全うさせてやりたいと思ったのだろうか。
「コードを追加しろ……嫌なら死ね、か。逆らえないようがんじがらめにした心は本当に『心』なのか? 最初は俺の心が本物かどうか騒ぎ立て、自分たちに都合が悪くなれば切り捨てる……これだから人間は嫌いだ」
 やはり彼らにとっての自分はどこまで言っても道具に過ぎないのだ。いかにライト博士がブルースを自由な個人として扱おうとも、周りがそれを許さない。周囲に逆らってまでブルースを守るほどの力は、善良で穏やかな彼にはないのだ。
「ありがとう……おかげですっきりしたよ」
 浮かべるのは眉尻を下げた笑みだ。それを見た『彼』は訝しげに言う。
《……『すっきりした』表情ではないと判断しますが、疑問の解消は喜ばしいことだと判断します。では、もう一つの質問ですが、こちらもお答えしたほうがよろしいでしょうか?》
「わかるなら」
 解られてしまうのが少し悔しいような気もしたが、考えを聞いてみたいと思う。
 力を与えられたこと、力を持つことに意味があるのかどうかを。



>>【Machine guardian_04】


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