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愚者の跳躍

ロックマンの絵とか文とかのログ倉庫。2ボス、ワイリー陣営で腐ってます。マイナーCP上等。NLもあります。サイトは戦国BASARAメインです。

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2024/11/22(Fri)12:59

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002:守るべきもの_04(C+F+α)

2008/11/09(Sun)00:25

続きです。
なんか兄弟がぼろぼろ。これで後はBとWと博士か……








 メタルは送信されてきた情報を分析し、視野の中に残り時間と破壊すべき目標の位置と順番を貼り付けた。交戦中だったガードロボットたちに背を向けて最も近い対象に向かって移動を始めると、共に行動していた弟も後をついてきた。
≪メタルぅ……≫
 同様のものを送られた、ライター型の体を持つ弟――ヒートが不安げな通信を送ってくる。情緒面は幼いが、彼もまた戦闘用ロボットだ。時間内に設定した爆弾を破壊すれば、自分たち二人は生き延びられると理解しているのだろう。
 だから、揺れる瞳に写っているのは他の兄たちの安否だ。
 最初のオブジェクトが迫る。メタルは両手の指の間に三枚ずつ計六枚のメタルブレードを生み出し、電波で答える。
≪ヒート……お前の兄弟を信じろ。俺たちは俺たちの最善を尽くす――あいつらもそうだ≫
≪――うん≫
 重い感情を飲み込んだ声でヒートが答え、全身に炎を纏った。壁の中に埋め込まれた爆弾に向かって突進――超高熱によって誘爆させる。メタルは追いすがる後方の敵と迎え撃つ前方の敵へとブレードを放つ。
 視界の中で刻一刻とカウントが減っていく。
 ――02:31:43。


 エアシューターとクイックブーメランが壁に突き刺さり、突き破り、奥に隠されていた爆弾を吹き飛ばした。これで二つ。生き残るためには最低あと三つの爆弾を破壊する必要がある。だが、エアーの武器もクイックの武器も、この手の破壊行為にはあまり向いていなかった。エアーは作業を妨害しようとするガードロボットたちを突風で吹き飛ばしながら、通信速度を最速に設定した電波で叫ぶ。
≪クイック――早くお前だけでも離脱しろ!≫
≪何度でも言うが――嫌だね≫
 クイックはその天分のままに走り、跳ね、壁を蹴り天井を蹴ってガードロボットたちの向こうへ着地する。巨大なブーメランの刃がぼろぼろに欠けるのもかまわず壁を抉り、埋め込まれた三つ目の爆弾を穿り出す。
 弟の後を追いながらエアーは叫んだ。
≪意地を張っている場合ではないだろう! いいから逃げろと――≫
≪意地張ってんのはエアーの方だろ! 俺の足なら爆発が起きてからでも安全圏まで余裕で逃げられる――だから、ギリギリまでお前を手伝う。それだけだ≫
 通路を抜け、階段を飛び降りてさらに走る。四つめの目標が隠れた壁に向かって、クイックブーメランを連射する。
≪俺は、兄弟を見捨てたりなんかしない――絶対に≫
 クイックの声に含まれた怒りは、しつこく逃げろと言い続けた兄に対するものだ。
≪……すまん≫
≪別に謝る事じゃないだろ? 助け合うのは、当たり前のことさ≫
 残酷に減り続けるカウントに逆に闘争心を刺激されたようにクイックは笑う。
≪早く来いよ。最後の一つを破壊したとき、予定のポイントにいないと崩落に巻き込まれちまうんだからな≫
≪わかっている≫
 二人とも、他の兄弟の事はあえて口に出さなかった。
 カウントは、01:12:08――


 フラッシュとクラッシュは首筋のレーザーケーブルで互いの電脳を結線し、作業を進めていた。どちらの顔にも真剣な表情が浮かんでいる。
 仲間へのデータ送信を終えたフラッシュに、クラッシュはこう言った。
『俺、わかる……どうすれば止められるか』
 マシンの基盤をドリルの先でこじ開け、内部でくもの巣のように絡み合うコードを示す。このうちの数本を切れば建物全体の起爆シグナルが止まるのだ。
『でも、俺……』
 彼は言葉を切り、くやしそうに自分の両腕を眺めた。ボムを格納したドリル状の重たい腕は、爆弾の解除などという繊細な行為を成し遂げるにはあまりにも大雑把であり、クラッシュ自身致命的なまでに手先が不器用だった。
 すべきことは解っているのに、自分にはそれができないとわかっている――圧倒的な無力感に包まれた兄に、フラッシュは迷うことなく言った。
『クラッシュ、リアルタイムでデータよこせ。俺がやる』
 今、ケーブルで繋がりあった二人は基盤とコードが詰まった狭い穴の中に顔を突っ込み、フラッシュが掴んだ三本目のコードをクラッシュのドリルで千切ったところだった。フラッシュは片手がバスターになっているため、自分だけではコードを切ることができないのだ。クラッシュの腕の制御を内的に奪い取って動かし、他のコードを傷つけないように目当てのものだけを切っていく。
 順番の指示はクラッシュが出した。彼はワイリーが集めた古今東西のありとあらゆる爆弾のデータをライブラリに入れている。爆発物に関してだけは圧倒的な知識量をもつクラッシュは、もはや直感と言えるほどの速度と確度で爆弾の本質を掴むことができるのだ。
 だが、その知識も解体作業を行えるだけの器用さが無ければ宝の持ち腐れだ。自分たちの父であるワイリー博士は天才だが、やはりどこかずれているのだろう。不器用な爆弾魔だなんて、笑えない冗談だ。
 弟の皮肉げな思考を読み取ったのか、クラッシュが問うような視線を向けてくる。
 フラッシュはにやりと笑い返し、最後のコードをドリルに当てた。
 赤く細いそれがぶちりと切れる。
 ――何も起こらない。
 視界に表示していたカウントはとっくにゼロになっているが、爆発が始まる様子は無かった。二人は顔を見合わせ、穴の中からごそごそと這い出す。
 巨大な中枢システムは不満げに沈黙していた。モニターの地図は、兄弟たちのいたブロックのオブジェクトがいくつか破壊されたことを示している。
 カウントは、00:02:46――爆弾は、止まっていた。




>>【守るべきもの_05】へ


++++++

クイックは自分が危ないところに突っ込んでいくのは気にしないけど、仲間を置いていくことはしないと思うんだ。でもエアーに兄貴風っぽいものを吹かせてみたよ。難しいよ兄貴風。


Cが爆弾の構造を直感的にわかるような爆弾魔にしたかったのはラノベの影響です。「ス,プライト・シュピ,ーゲル」という小説に出てくる少女爆弾魔の雛が電波で可愛いんだ……すごくCとダブります。私の中では、ですが。雛の能力、爆風や破片が飛んでこない安全地帯を計算した上で爆発させるとか、かっこいいんですよ。
Cは巻き込まれてもOKなつくりですけど、仲間を安全地帯に押し込んで自分は耐えるとか、そんなぽっぽー格好よくないですかね?

妄想いっぱい。次で終わります。

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No.12|ロックマン小話Comment(0)Trackback()

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