やっちまったつい勢いで影を出してしまった。せめて再構築終わるまでは3には手を出さないようにしようと思ってたのに……
なんか脳内で影とMがグダグダ会話してたので、書き留めてみた感じのグダ文です。うちの影さんはヘタレです。うっかりヘタレ忍者です。かっこいい影さんをお求めの方は他所様へ行かれたほうがいいかと。
女神ネタなのに話しているのはうちの兄さんと影というキメラな話。やや影→複製岩、メタ兄と青兄は友達でメタ兄と影は友達で、メタ兄結構微妙な立ち居地ですが、うちのメタルなんで悩んではいないようですね。
枕が長くなりましたが、ご興味あればどうぞ。
タイトルはお題配布サイトからいただきました。
【少なくともあなたを憶えている】
「メタル殿はなぜあのような男と仲良くしていられるのでござるか」
酒で機能が低下した人工頭脳は、口にした言葉をのろのろと吟味し、「しまったー」という結論を出した。
だから自分は兄たちから『うっかり忍者』などというありがたくもないレッテルを貼られるのだ。
酔った勢いで自分の友人に対する文句と愚痴を並べ立てていたこちらを果たしてどう思っているのか、最初から欠片も表情を変えることなく淡々と杯を傾ける相手にむしろ背を押されるように、素面ではおそらく言えない不躾な問いを突きつけてしまった。
心で脂汗を流すシャドーをよそにメタルは無表情のまま首を傾げ、
「仲が良いと言うか腐れ縁というか……まあ、心の底から遠慮も気遣いもいらん相手からだな」
そういうと、おもむろに視線を合わせてくる。
「そもそもあいつに何か期待する時点で間違っているだろう」
呆れでも諦観でもなく、この世の摂理を語るような、太陽は東から昇るんだとでも言いたげな口調に、シャドーは酔いが一気に醒めた。
「メタル殿とブルースは本当に友人なんでござる……か?」
「そうだと思っているが?」
――アレ、友人てそういう関係でござったか?
友人という単語に対するゲシュタルト崩壊を起こすシャドーに、メタルは淡々と語る。
「あいつはあいつなりの行動原理に従っているようだが、それは俺たちの考える『こうならばこうだろう』という理屈――というか希望的観測とはかけ離れているな。まれに一致することもあるが、それは偶然だ。あいつが俺たちに都合がいいように動くことは無いと思っておいたほうがいい」
メタルは空になった自分の杯とこちらの杯とに酒を注いだ。
「お前は、ブルースよりもむしろ自分に憤っているんじゃないのか? だとしたら、自らの不甲斐なさを他人のせいにするのは止めた方がいい。気持ちはわからないでもないが、それではお前が成長しないからな」
「…………」
メタル殿は容赦ないでござる。
シャドーは言葉を失い、注がれた酒をじっと見つめた。月明かりに揺れる銀色の波紋を数えながら考え――
「……そうでござるな」
吐息と共に呟き、一気に呷った。
メタルが無言で酒を足してくるのに手刀を切り、語る。
「拙者のしたことは、捨てられた子猫に気まぐれで餌をやってしまったようなものなんでござろうなぁ……拙者の他にも子猫に近寄るものが居るのを知って、きっとその者が拾ってくれるだろうと……あるいは、一人でも強く生きて行ってくれるだろうと自分に言い聞かせて立ち去った翌日に――車に引かれて死んでいるのを見たような……例えるなら、そんな気持ちなんでござる」
ひどく裏切られたような気分で、やり場の無い怒りをブルースに向けてしまったのだ。
何故お前が助けてやらなかったのだと。
見捨てたのは、自分も同じだというのに。
「あの時拙者が拾っておけばと思うのは……未練なんでござろうな」
真顔のメタルは力ない笑みを浮かべるシャドーに向かって言った。
「そうか……捨て猫に餌をやったことがあるのか」
シャドーが吹いた。
「なななななな何故そのようなことをっ!?」
「いや、例え話が妙にリアルだったのでな」
「そそそそんなこと無いでござるよ? 拙者、博士の味噌汁の煮干を勝手に持ち出したりなどはこれっぽちもしたことないでござるよ?」
「まあ、犯人がわかったわけだが」
「これ誘導尋問でござるか!? ござるか!?」
錯乱して声を裏返らせるシャドーを適当に宥めながら、メタルは言う。
「もし次があれば、お前も自分でよく考えるんだな。いくら忍者だからって、自分に対して忍んでも益はないぞ」
「あれ? ひょっとして拙者ものすごく遠まわしに貶されてるでござるか?」
「俺の言いたいことが正確に伝わっていないな……ちょっと面白いことを言おうと思って言葉を選んだのがまずかったか」
「メタル殿――ッ!?」
グダグダと騒いでいると、心の中の荒れ模様は大分落ち着いていた。淡々と呟く友人の、ひょっとしてこれが優しさだったりするのだろうか。最初から最後までただの素だという可能性もあるが、今後のためにそういうことにしておこう。それがいい。
――あやつは酒の味も、下らない会話も知らぬままにいってしまったのだなぁ。
そう思うと、乾いた風のようなものが心に吹いた。
もし次などがあるならば、違った結末を迎えられるだろうか。
いや、次などなくても――
少なくともあなたを憶えている(お主が死ぬためだけに生まれてきたのだとは、思いたくない……)
我ながら未練がましいなぁと苦笑していると、友人が瓶に残っていた最後の一滴をこちらの杯に垂らした。
銀の波紋が消える前に、それごと喉に流し込む。
感傷と酒の苦味は、やがて口の中で溶けていった。
[3回]
PR