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愚者の跳躍

ロックマンの絵とか文とかのログ倉庫。2ボス、ワイリー陣営で腐ってます。マイナーCP上等。NLもあります。サイトは戦国BASARAメインです。

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2024/05/15(Wed)23:34

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006-02:崩壊_04(R)

2008/12/23(Tue)21:24

2話目はこれで終わりです。ロック視点シリアス、VSメタルマンです。

人によってはグロになるかもしれません。ロックが辛い思いをするのが許せない方、絶対正義じゃないと嫌という方、メタルがロックを攻撃したり嫌ったりするなんて耐えられないという方、読まないほうがいいです。


OKという方はどうぞ




【崩壊_04】



 最後のメタルブレードは、その本来の持ち主の胴体を存分に切り裂いていた。腹部の薄い装甲が敗れ、中に納められていた機械や色とりどりのコードがはみ出して床に落ちる。メタルマンの上半身と下半身をつないでいるのは脊椎ユニットだけで、断面から火花を上げていた。
 これで終わりだ。
 後はワイリーを懲らしめて終わりだ。
 背を向けて一歩踏み出した瞬間、ロックは背中に衝撃を受けてうつぶせに倒れた。切り刻まれた赤い装甲に包まれた腕が首に回される。頚椎ユニットを破壊するか――可能なら頭を引っこ抜いてやろうとしているのがありありと分かった。
 恐怖を感じる《ロック》を抑えて戦闘用プログラムが動く。敵の腕と首の間に腕をねじ込む。相手を振りほどこうともがく。その度に、振り回されて床に打ち付けられる相手の下半身が視界に入った。
(どうして――)
 どこにこんなエネルギーが残っていたのか。倒れたメタルマンには、コアを閉鎖して守るだけのエネルギーしか残っていなかったはずだ。他のDWNたちは皆そうだった。自分の兄弟も、自分自身すらそうだ。最後の最後に残ったエネルギーは、自分を守るために使われるはずなのだ。それはロボットの意志でどうこうなることではないはずなのに。
 メタルマンは何らかの手段で、強制シャットダウンを拒否している。そのためのエネルギーを全て使って、こちらを破壊しようとしている。
 ロックは空恐ろしいほどの力でつかみ掛かって来る指先から逃れようと首を捻った。
 目が合った。
 無機物を原材料とする赤い瞳に浮かんだ正真正銘の憎悪に、ロックは怯えた。
 今までそんな目で見られたことなどなかった。
 生まれて初めて心の底からの憎しみを向けられて、パニックになった。
「うわあああああああぁぁっっ!!」
 撃った。至近距離からバスターをくらって、メタルマンの身体が跳ね飛ばされて壁にぶつかった。今度こそ脊椎ユニットが折れ千切れて、上半身がつま先の上に落ちる。
 ――アルバート……すいません。
 そう聞こえた。そしてそれっきり、静かになった。
 無数のメタルブレードが飛び交ったせいでずたずたになった部屋の中、ロックはついに泣きだした。
「ど……して……どう、して……?」
 虚しい問いだ。
 答えは分かりきっている。
 彼らは自分と同じだ。大切なものを、命を掛けて守ろうとしただけだ。
 以前兄弟を止めたときとはまったく違う。カットマンたちは操られていただけで、自分は彼らを救うのだと使命に燃えていられた。今も、世界を守りたいと思う気持ちは変わらない。それは正しいことだと思う。
 でも、気づいてしまった。彼らには心があり、彼らなりの正しさを持って戦っている。彼らにとっての自分は紛れもない悪であり、憎むべき敵なのだ。
 この世の戦いは、正義と悪が戦うだけではない。正義と正義が戦う事だってあるのだ。
 それを知ってしまった。
 泣いた。メタルの残骸の隣で、長いこと泣いていた。


「……っく、……うぅ……っ」
 涙も枯れた頃、目元を拭うと視界に一本のネジが飛び込んできた。
 それは先ほどからずっとそこにあった。
 メタルマンの身体から外れ、零れ落ちたネジだ。この手で倒した命の欠片だ。
 誰かがロボットは生きていないというならそれでもいい。互いに理解は出来まい。
 ロボットだから壊していいなどとは思っていない。自分を『生きている』と思うなら、彼らも間違いなく『生きていた』。過去形にしたのは自分だ。誰にも強制されない、自分の意思だ。
 手を伸ばして、それを拾った。握り締める。謝ったりするな、と自分に言い聞かせる。
 もう一度涙を拭って、E缶を飲んで立ち上がった。
「行かなきゃ……」
 彼らの意思を認めるなら、真正面から相対したなら、自分はここで逃げるわけには行かない。彼らと戦うことを選んだ自分は、最後まで戦い続ける義務がある。そうでなければ、命をかけたDWNたちを侮辱することになる。0か1かだ。
 行こう。
 ワイリーを止めよう。
 それが自分の――ロックマンの選択だ。




+++

これで再構築シリーズの2話目は終わりです。
読んでくださった方、本当にありがとうございました。
シリーズ自体はまだ続きます。
タイトルの頭にキャラの頭文字をつけるのを忘れていたので、リンクつなげがてら修正します;自分で決めたルールなのにすいません;

【追記】
とりあえず各話のリンクをつないでタイトル修正しました。
03についてなんですが……DWNには人間に従うというプログラムが入っていません。人間と自分たちを同列に扱うことが出来ます。DRNであるロックには入っています。だからこそ、彼らはライト博士を父親だと思うことは出来ても、命令されない限り自発的に「父さん」と呼ぶことは出来ません。プログラムに邪魔されて発音できません。
ロックが羨ましいといったのはそういうことです。

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No.62|ロックマン小話Comment(0)Trackback()

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