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愚者の跳躍

ロックマンの絵とか文とかのログ倉庫。2ボス、ワイリー陣営で腐ってます。マイナーCP上等。NLもあります。サイトは戦国BASARAメインです。

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006-02:崩壊_03(R+others、M)

2008/12/23(Tue)21:13

基本ロック視点です。
辛いのや苦しいのが苦手な方、ロックは絶対正義じゃないと嫌という方、ロックが嫌いなDWNが嫌いな方は読まないほうがいいです。


OKな方はどうぞ。





【崩壊_03】



 自分はもうすぐ機能停止するからさっさと消えろ、とフラッシュマンが言った。
「なんで……?」
「うるせぇ、さっさと出てけこのクソ餓鬼。機能停止の瞬間を見られたくねぇんだよ。他人の死に顔拝むのが趣味ってわけでもねぇんだろ?」
 それが最後に残った意地だったのか、そうまくし立てたフラッシュマンはがくりと動きを止めた。それでも目にはまだ力があって、早く行っちまえと言っていた。
 ロックは彼に背を向けて歩き出す。
 転送装置に足を乗せた瞬間、すすり泣きが聞こえた。
 すまねえ、親父。
 そう聞こえた。
 転送装置から転がるように出て、同じような装置ばかりが並んで誰もいない、無機質な床にうずくまって身体を震わせていた。
 迷うな、怯むな、躊躇うな。
 立ち上がるまでに随分長い時間がかかった。


「何故? 何故殺さない? コアまで吹き飛ばせば、俺たちは完全に破壊される。死ぬ」
 倒れたクラッシュマンの装甲は亀裂だらけだったが、残存エネルギーで安全にコアを閉鎖することが出来る状態だった。
 弱点であるエアシューターに回路を破壊され、戦う力は残っていない。その相手にこれ以上攻撃することは《ロック》には出来ない。
「俺はお前を殺すつもりだった。お前は違うのかロックマン?」
「だって、君たちはワイリーの命令で戦っただけで――」
「ちがう」
 感情の薄い緑の目が、まっすぐにこちらを見ていた。
「俺たちが戦ったのは、俺たちの意志」
 平坦なはずの声に、怒りが混じるのがはっきりと分かった。
「ロックマン――俺たちを、侮辱するな」
 ごめんと言う間もなく、クラッシュマンの目から光が消えた。
「わかってる……」
 機能停止した機体の傍に膝をついた。声が震えていた。
「違うってことくらい、わかってるんだ……」
 見開かれたままの相手の瞼を閉じさせて、今度は《ロック》だけの力で立ち上がろうと決めた。


「ロックマン――俺が言えた義理じゃないが、ひとつ頼みがある」
 ――……何?
「博士を殺さないでくれ。俺たちから……父親を奪わないでくれ」
 ――大丈夫だよ。僕は……人間は、撃てない。
「そうか……そうだったな」
 何故。
「よかった……――」
 何故君たちは、そうも自然に彼を『父』と呼べるのか。
 自分には出来ない。自分の兄弟たちにも、おそらく出来ない。
 羨ましかった。


 バブルマンはメタルブレードで泡を出すためのパイプを切り裂いた。エアーマンはリーフシールドで腹部のプロペラを破壊した。
 どちらも、腕のバスターで戦い続けた。
 それも壊した。
 今度は体当たりしてきた。
 残った腕で、脚で、攻撃してきた。
 耐えられなくなって叫んだ。
「もう良いでしょ!? 武器がなくなったんだから戦えないでしょ!? お願いだから降参してよ!!」
 バブルマンが電波で笑った。
《今更甘い事を言わないでくれる? 最後の転送装置は各DWNの機能停止によって作動する……僕を倒さなければ先へは進めないよ? そして、僕は君を先へは行かせない。絶対に行かせない》
 何も言い返せなかった。
 撃った。
 ロボットの身体は何もしなければ水底に沈む。
 自分は何故こんなことをしているのか、必死に思い出そうとした。
 エアーマンは最後まで戦士だった。
「仮に俺が降参したとしても、スイッチは作動しない。投降した敵を、お前は撃てるのか?」
 お前が撃ちやすいように、降参はしないで置いてやろう。
 だから、最後まで戦士として相対しろ。
 彼らに迷いはなかった。
「博士……親父殿、御武運を」
 自分だって、迷っていい理由などない。
 世界を守るのだ。
 彼らを止められるのは、自分だけなのだから。




 青い少年型のロボットは、「もう止めてよ」と言った。
 何を今更、と相手も思っているらしいことはわかった。だから告げた。
「お前に語る言葉などない。お前は敵だ。それだけだ」
 メタルマンは覚えのない記憶を回想する。孤独を背負った背中。彼を一人にしないと繰り返し誓った。
 大切な人が悪に走ったとき、正しいロボットならばその人を止めるのだろう。
 たとえばこの、ロックマンのように。
 だが自分は違う。自分は悪のロボットだ。大切な人が世界を敵に回すなら、自分は最後の瞬間まで彼の味方でいる。
 その決意は、すでにあの小さな箱の中で済ませていたのだ。



>>【崩壊_04】へ



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