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愚者の跳躍

ロックマンの絵とか文とかのログ倉庫。2ボス、ワイリー陣営で腐ってます。マイナーCP上等。NLもあります。サイトは戦国BASARAメインです。

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キリバン07:好きなだけ笑えばいい 夢が墓標だ (R+Bl)

2009/02/08(Sun)17:35

だからなぜロクマにょたでここが出てくるんだw
前の突っ込み記事に書いたからか?

お久しぶりです。もうすぐ25000行ってしまうので企画を消化しようかと。
ロックとブルースです。ロックはブルースの正体を知りませんが……公式でもまだ知らないんですよね?誰もつっこまねぇのかライトナンバーズは……ライト博士に聞いてもしらばっくれられるだろうけど。

いつもどおり意味不明です。





【好きなだけ笑えばいい 夢が墓標だ 】




 爆発したワイリー基地の影が夕陽に沈んでいく。彼の野望を阻むのはこれで何度目のことだったろうか。
 迎えを待って丘の上に座り込んでいたロックは、背後に足音を聞いた。視線をそちらに向ければ、何度か出会ったことのある赤いロボット――ブルースがいた。
 彼はいつものように黄色いマフラーをなびかせ、超然と腕を組み、静かな眼差しを遠くの廃墟に注いでいる。
 ロックは、彼が何者なのか知らない。ただ、敵ではないらしい――それだけで十分だった。同じロボットたちと戦わなければならない自分にとって、戦場で出会う敵ではないロボットがいることは、少なからず救いになっている。だから、彼の正体を知りたいとは思わなかった。
「ねぇ、ブルース……」
 返事はない。ブルースは無口で、たまにこうして言葉を交わすことがあっても、ロックの言葉に返事をしてくれることは余り無い。ただ、彼の注意がわずかにこちらに向けられたのを感じて、ロックは言葉を続けた。
「ワイリーは……いつまで、こんなことを続けるつもりなのかな」
 そして自分はいつまで戦わなくてはならないのだろう。
 いつか戦いの中で得た全ての力を捨てて、ただの『ロック』に戻れる日が来るのだろうか。
 ロックの疲れた声の裏にあるものを感じ取ったのか、ブルースは小さくため息をつき、しかし冷徹な言葉を返す。
「さぁな……きっと死ぬまでだろうさ。夢を墓標にした奴はいくらでもいるからな」
「夢……?」
 ワイリーの夢――ロボットが自由に暮らせる世界。
 ロックとて、その夢自体は間違ってはいないと思う。ワイリーはやり方を間違えているのだ。もっと穏便な方法がきっとあるはずだった。
 だから戦うしかないのだ。
「どうして、戦いはなくならないのかな?」
「この世に『絶対的な正しさ』がないからだ」
 夕陽を眺めていたロックは呆然とブルースを見やった。ブルースもバイザー越しの視線をロックに向ける。
「お前が自分の戦いに悩むように、お前の正しさも絶対じゃない……もしもそうなら、悩む必要はないんだからな」
「そう……だね……」
 一番初めにロックマンになった時は――戦闘用ロボットに生まれ変わることを望んだときの自分は、確かに迷ってはいなかった。正しいことをしていると信じていた。
 それが揺らいだのは、ワイリーの作ったロボットたちと戦うようになってからだ。
 彼らには彼らの正しさがあると知ったときからだ。
「人の……いや、命の数だけ正しさがあり、自分以外の正しさを間違いとみなしたとき戦いが起こる。それと同じ数だけ夢があって、皆自分の夢のために死ぬのさ。それこそが、前に進む力だ」
 ロックは思う。
 ブルースは間違いなく、自分よりも前に起動したのだ。
 ライト博士の傍を離れることの無かった自分と違い、おそらくあちこちを放浪して――自分では考えも及ばないようなたくさんのものを見て来たに違いない。
 綺麗なものも、醜いものも、全てを見て、受け入れてきたのだ。
「全てが満たされた世界なら確かに戦いなど起こらないだろうが、完璧な世界には先がない。そこから先に進むことがないなら、存在する意味がない。だからこそ、人の歴史は繁栄と衰退の繰り返しなんだ。完璧に近づいては遠ざかる。そしてそれゆえに、存在し続けてきたんだと……俺はそう思う」
 戦いはなくならない。存在することがすでに戦いである。ブルースの言っていることは難しくてよくわからなかったが、きっとそういうことを言いたいのだとロックは思った。
 ブルースはロボットだが、誰にも従っていない。いつも、たった一人だった。主のいないロボットなど、公には認められない存在だ。
 彼にとって、生きることは戦いなのだ。
「哀しい……ね」
 命は生きて、死んで、別の命の糧になる。
 夢は生まれて、消えて、別の夢の礎になる。
 回り続ける歯車は優しくて、残酷で、自分にはどうしようも出来なくて、きっとそれが世界なんだろうと思った。
「僕は、ワイリーを止める――何度でも、彼のやり方が間違っていると思うから」
 それがロックの戦う理由だ。
 何故と問い、どうしてと叫び続けながらも、変わらないもの。
 ちっぽけな自分の、ちっぽけな正しさ。
「でも、僕は世界を救えているわけじゃない……僕は世界を良い方向に変えられるわけじゃない。僕にはそんな力はないし、夢もない……」
 そんな大それたことが出来るとも思えない。
 より良い世界――敵もそれを望んでいるはずなのに、そうあれば良いと自分だって思えるのに、結局その夢を潰すことを正しいと思う。
 哀しかった。
「笑えばいい」
「わ、笑う……?」
 ブルースの唐突な言葉に、ロックは目を白黒させた。ブルースはその様子を見ながらこともなげに言う。
「ただ哀しまれるよりは良いだろう。少なくとも、最後まで夢を、自分の正しさを捨てずにいられたのなら……その愚かさと、強さを、笑ってやればいい。お前の下らない夢にも、きっと意味はあったのだとな」
 ロックの口元にわずかな笑みが浮かんだ。
 ――世界征服を目指した悪の科学者、ここに眠る。
 そんな墓碑銘を刻むのは、彼が作ったたくさんのロボットたちだろうか。
 敵とはいえ、ロックはDWNたちが嫌いではない。戦いの中であっても、彼らと出会えて良かったと思う。
 そしてDWNはワイリーの夢がなければ生まれることもなかったのだ。
 自分が彼らと出会うこともなかったのだ。
「下らない夢なんか……ないよ、きっと」
 みんな、自分が正しいと思うことをしたいだけ。
 なんて哀しくて、滑稽で、愛しいのだろう。
 強い感情にキックされて洗浄液が溢れる。それば『涙』と呼ばれるモノとなって、あとからあとからロックの頬を伝った。徐々に暗くなる空に、廃墟の影が沈んでいく。薄闇が滲んでぼやける。
 不意に、頭の上に何かが乗った。それはブルースの手で、一度だけ不器用にロックの頭を撫で、すぐに離れる。
 振り向いたとき、ブルースはすでに背を向けていた。
 慰めようとしてくれたのかもしれない。
 兄さんがいたらこんな感じなのかな、と少し思った。




+++++

ロックというか、ブルースが書きたかったのがバレバレですねw
ワイリーの墓碑銘はぜんぜん違うものになると思いますが、ロック視点なのであんなんです。



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