昨日創作サークルの定例会に行ったのですが、家主夫婦(奥さんがメンバー)の旦那さんが大惨事なロックマ落書きを大量にしてくださいました。具体的に言うとR20のp240、241あたりな感じです。妙に強そうなリアルワイリーはともかく、リアルカットとかリアルアイスとかリアルチャージとか……もうおなか痛い。でも一番のアレはリアルギャラクシーだよな……どこの未来系コロ助?
以下、だらりと続きです。
まだF出てこねぇー……4話くらいで終わる予定です。
【かくて、世界は今日も輝く_02】
「あー、畜生……なんだよこのトロさは……マジあり得ねえ」
クイックは両脚をいらだたしげに見下ろした。普段の脚とは違う、駆動系むき出しのいかにも機械といった義足だ。
もともとパーツ丸ごとメンテナンスに回されたときのための脚なのだが、あくまで一時的なものであり作りは甘い。はっきり言ってジョーの手足より大雑把な出来で、歩くことは出来るが、走るのはもちろん、ジャンプも満足に出来ない。内的時間の制御というクイックの特殊能力は両脚には行き渡らず、したがって早く動こうと試みることすら危険であり、そもそもこの脚で基地内を歩き回ることを想定していないので、いつ動作不良が起こるかもわからない。
そんな不安なシロモノをくっつけたのも、裏を返せばメタルが与えた罰なのかもしれなかった。長兄はいつも、弟たちが彼を心配させすぎたときに怒り狂うのだ。もっと自分の身体の状態に注意を払え――長時間の説教の中身を意訳すればそうなる。
だからといって素直にありがたがれないのは、メタルの怒りへの恐怖でいつもプライドを木っ端微塵にされる恨みからか。
何もあそこまで怒らなくてもいいではないか。
思い出すだけで涙が滲む。クイックは情けない自分にため息をついて目じりを拭った。
手すりに掴まっておっかなびっくり階段を降りながら、エレベーターを使えばよかったと後悔する。いつもはエレベーターが来るのを待っている間に目的の階まで行けてしまうので滅多に使わないのだ。
今がその滅多なときに該当するのに。
とりあえず居間に行こうと思っているのに、なんと長い道のりなのか。今の歩行速度は他の兄弟とさほど変わらないが、連中はこんなのろのろ歩いて何故イライラせずにすむのだろう。
加速装置の起動キーを組み込んだヘルメットと戦闘時以外は重荷でしかない装甲まで奪われた自分は人間の服を身に着けており、どこから見てもただの人型ロボットだった。少なくとも戦闘用だと思う者はいまい。身体は軽いが、動作が遅いのでひたすらストレスが溜まる。
居間まではまだ随分ある。横着をしてラボから一番近い階段を使ったのだが、実際は普段余り使われていない道で人気もなく、廊下の隅でメットールが一体、寂しげな様子で交代の時間を待っているだけだった。
黄色いヘルメットが持ち上がり、クイックと目が合う。
しばし見詰め合った後、ぱたり、とヘルメットのふちが床を叩いた。
「…………~~ッ!」
見られたことが猛烈に恥ずかしくなり、クイックは角を曲がってメットールの視界から逃れる。気が付けば無意識のうちに走り出していた。一刻も早くあの場を去りたい。
おお、こんな脚でも走れるじゃんと感心した次の瞬間、踏み出した右足の膝から下の制御が利かなくなった。足首が変な形で接地する。
「おわぁっ!」
地面を踏みしめそこなったクイックは顔面からモロにいった。
埃っぽい床に突っ伏して脳内を飛び回るエラーを処理しながら、クイックはかつてない屈辱に身を震わせる。誰にも見られなくて良かったと心の底から思う。もし自分がこける瞬間を見ていた奴が居たら、地の果てまで追いかけて八つ裂きにしなければ死んでも死に切れない。
「ったく……なんなんだよ、この不良品はぁ……メタルの奴、こんなモン俺にくっつけやがって……」
倒れた拍子に左脚も逝ってしまったらしく、両脚はただの鉄の塊と化していた。恨み言を述べながら腕の力だけで身を起こし、ずりずり床を這って身体を捻り、壁に背を預けた。向きを変えたときにねじれて重なってしまった脚を持ち上げて床に下ろす。惨めな気分で体中についた埃を払う。
確かに――きちんとメンテナンスされた自分の脚に対するありがたみは死ぬほど良くわかった。
だが、いつまでこうしていれば良いのか。
回路の異常は放っておけば直る類のものではない。かといって地面をはいずって整備室まで戻るのは御免だ。無線で誰かを呼べばいいのだろうが、今の自分の姿を見られたくなかった。
(メタルは…………ダメだ。無線切ってやがる)
事情を知る長兄なら、と思ったのだが無駄だった。手が離せなくなるという言葉どおり、博士とともにラボに缶詰するつもりなのかもしれない。
見れば、周囲には埃を被った箱がパーツになっていた。元は廊下なのだが、この先に続く古い倉庫からはみ出してしまったのだろう。たまに誰かが発掘に来るのか、所々掘り返されたような痕がある。このままの状態が続けば、自分もこれらの一部となるのかもしれなかった。
足音が聞こえた。
ヘルメットなしのクイックの聴力は人間よりは少しマシ程度だ。そいつの接近に気づいたのは、先ほどメットールに会った位置まで相手が接近してからだった。
「どうした?」「なにがあった?」という声が聞こえ、クイックは顔をしかめる。
嫌な奴が来た。今一番会いたくない奴といえば、この声の主だ。
DWN.014フラッシュマン。
もともと反りの会わない相手ではあったが、先の任務で自分たちの間の溝は決定的に深まったと思う。
結果的に二人そろってメタルにきつい説教を食らったのだが、クイックは今でもそのことを反省していない。
――だって俺は、あいつを助けようとしただけなのに。
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元ネタはスプライト4の短編だと先に言っておきます。普段高性能な手足で生活しているものがレベルの低い手足をつけられたときのストレス。クイックが懲りるかどうかはわかりませんが、お仕置きとしては効果的かもです。
何が書きたかったって、地べたに這うクイックですがwww
プライドの高い奴って以下ry
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