カオス行きかと思ったんですが、少し長くなったのでこっちに。
QがMに押し倒されてますが、たいしたことしてないです。続きが書けそうなら裏にうpしてアドレス公開します。裏はまだほとんど何も置いてないので;
タイトルはお題配布サイトからいただいてます。
次はフラロルって言ってたのはどこのどいつだ。
【避けては通れぬ夜が、たったいま始まる】
俺を押し倒して組み伏せたお前は、剃刀のような嗜虐的な笑みを浮かべていた。
その鋭さと冷たささえ、俺は愛してる。
どんな方法であっても、いや、あらゆる方法で俺を抱きたいのだとメタルが言って、俺はよくわからないまま承諾した。
俺たちはロボットで、人間の真似事が出来るようには作られていない。それをあれこれ改造して、出切るようにするとあいつは言った。キスも、コア同士をケーブルで繋げることも、あいつには物足りないらしい。
世の中には人形――というかロボットとそういうことをしたがる人間がいて、そういう用途のロボットは昔から、それこそ『心』なんかよりも先に開発されてきたという。
プログラムどおりの反応をするだけの人形を抱いて何が面白いんだと俺は思うけれど、要はそれを応用することで人間のように抱きあえるようにするらしい。
ただ、本来は不必要なものを付け加えるせいで、俺の機能――スピードが少し落ちるかもしれないとメタルは言った。
自分の我侭で、俺の性能を落としたくないと。
俺は笑った。
俺は今でも、これからもずっと最速のロボットに決まってる。ほんの少し遅くなったところで、俺に追いつける奴は誰もいない。
メタルは少し哀しそうな顔をした。
馬鹿な奴だと思った。それから、俺自身も馬鹿だと思った。
でも、こいつのことだから物凄く凝ったものを作るんだろうな。
+
俺は、お前のくれるものは何でも欲しかった。俺がまだお前のことが嫌いだと思っていたとき、お前が訓練で俺を叩き伏せたときの冷たい言葉と視線(多分半分以上は演技だったと思うけど)も、とうとう俺がお前を打ち破ってみせた時の、あの誇らしげで賞賛に満ちた声と笑顔も、今では懐かしくて、もう一度欲しくてたまらなくなる。だから、俺はお前を受け入れる。それが何であろうとも。
ああ。
お前は俺を欲しいと言うけれど、俺だってお前が欲しくてたまらない。格好悪いからと我慢しているけれど、お前は俺のものだと言って強がるけれど、俺は不安でたまらない。本当はいつでも一緒にいたいし、俺だけを見て、俺だけに話しかけて、俺だけに触れて、愛して欲しい。永遠に。でも、そんなのはきっとお前じゃないんだとも思う。
ワイリー博士が一番大事で、俺以外の弟たちもどうしようもなく愛しているお前に、俺は恋したから。どこまでも公平であろうとしていたお前の、博士以外の「特別」になりたくて気が狂いそうだから。
でも、俺はちゃんとなれたんだと思う。俺を抱きたいとお前が言ったとき、俺は嬉しかった。全部の回路がショートして、壊れてしまいそうなほど嬉しかった。俺が欲しいとお前が言うたび、動力炉がオーバーヒートしてしまうんじゃないかと思う。
今まで、お前は何も求めなかったから。
何も欲しがろうとせず、ただ、博士と俺たちのために全てを捧げてきた。そのお前が、欲しいと思ってくれるなんて。それが、俺だなんて。
だからだ。
まるで縫い止められるみたいにベッドに押さえつけられても、俺はちょっとだけ嫌がるフリをしながら内心狂喜していた。お前が敵にも見せたことがないような、ぞっとするような笑みを浮かべた時も、恐れや屈辱より嬉しさが勝っていた。いつもより荒々しく唇を奪われて、執拗に絡み付いてくる舌から逃げ出したいと思っても、逃げる気はなかった。
身を任せるのじゃ足りなくて、自分から口を開けて舌を差し出した。拙い動きでお前を求めた。いっそきつく吸って、噛んでほしくて。
自由になった腕でお前を抱き締めた。脚をお前の身体に擦り付けた。恥ずかしさよりも、そうしたいという思いのほうがずっと強かったから。
お前は熱された排気を俺の首に吹きかけて、キスしたりチューブに軽く噛み付いたりした。ドキドキした。お前の手が身体を撫で回して、俺の名前を呼んだ。
クイック。
クイック。
その声は、もう俺のことしか考えていない。
俺は内心勝ち誇っていた。ようやく、お前に本当に勝ったという気がしていた。訓練ではもうお前に負けることはなくなっていたけれど、それとは違う。初めてお前に勝ったときの気分とも違う。結局、訓練で得られるのは「お前に認められた」という自信だけだ。お前は、俺がお前に簡単に勝てるようになることを望んでいた。弟たち全員が、一刻も早くお前より強くなればいいと思っていた。俺がお前に勝っても、それはお前の望みどおりの結果でしかない。
でも、今は違う。お前は俺の虜だろ? 俺のことだけが欲しくて、俺のことしか考えられない。そんな状態なんだろう? 俺の勝ちだ。俺の勝ちだ、メタル。
お前は俺のものだ。
そして、俺はお前のものだ。
だって俺だって、お前のことしか考えられない。
泣き出してしまった俺にキスして、お前は低く囁いた。
「泣いても止めないぞ……――いや、もっと泣け。泣き顔を見せてくれ」
お前の涙が愛しくてたまらない。
俺は狂ってる。
お前はそう言って残酷に笑った。
ああ、その笑顔。それがお前の愛の証なら、俺はいくらでも切り裂かれよう。
鋭く切り刻む刃も、そっと寄り添うことも、どっちもお前の愛で、俺の望むものだから。
俺は壊れてる。お前と同じように狂ってる。お前が破壊されて、二度と目覚めないかもしれないと思って、でも諦めたくなくて皆と一緒にお前を直していた、その長い時間の中で、俺はすっかり壊れてしまった。お前が壊れる前は、こうじゃなかったと思う。お前と一緒に、俺も壊れてしまったんだ。
戻ってきてくれてよかった。
目を覚ましてくれてよかった。
お前は俺のだと言える。俺はお前のだと言える。
俺から求めるだけじゃない。お前に求めてもらえるのだから。
好きだ、メタル。好きだ。好きだ。好きだ。
+++
Qの改造終了しました。試験運用は裏に……書けるかなぁ。えろい話からちょっと遠ざかってますし。見る方は全然OKなのにね!
速い子はMだと思ってましたが、やっぱりMでした。でも、ある意味メタ兄を支配してるというか……裏まで行ったらどうなるかわかりませんが、途中までは負けないように頑張って兄貴のS心をくすぐってくれると思います。
[3回]
PR